「金属を編む」強みを活かして事業展開
創業当時から、車やバイクに使用される金属部品を製造するベスト。接続部分を密閉するガスケットに加え、金属のワイヤーを編み込んだメッシュ部品において独自の開発力を有している。
ワイヤーメッシュ製品は、エンジンの遮熱カバーなど、ゴムや樹脂では耐えられない高温度下において威力を発揮。振動を抑える緩衝材として活用されている。1~4本の金属線を繊維と同じメリヤス編みにし、線径や成型密度を変えることで固さやしなり具合を変化させ、製品のバリエーションが生まれる。
高品質・低コスト化を追求する同社は編み機も機械メーカーと共同でオリジナルのものを開発している。従来はステンレス中心だった線材から発展し、これまでは切れ易くて編むことの難しかったチタンやアルミ、マグネシウムといった金属も扱えるように。
また独自の技術で線径0.04㎜という細さでも編むことを実現可能にした。金属の特性を生かした新たな可能性を模索するため、医療機器メーカーや専門学校へアクセサリー素材を提供するなど、異業種とのコラボレーションにも取り組んでいる。
中国に子会社を持ち、今年に入ってマレーシアにも合弁会社を設立。為替相場の影響を最小限に抑えるため、現地調達が今後のモットーだ。将来、増加が予測される電気自動車は内燃機関を不要とするため、耐熱製品の需要減も見込まれる。培った自動車関連の製品に軸足を置きつつ、新しい道で「ベスト」を見つけていきたいと考えている。
(取材・文/衛藤真奈実)
株式会社ベスト
代表取締役
野田 康洋氏
ガスケットなど、自動車・自動2輪車用の排気系関連部品の生産・販売。顧客ニーズに応え、オリジナルのものづくりにこだわる。新たに生み出した技術で、特許も数多く取得。