かゆみ抑える機能素材でアレルギー市場をねらう
ナノミックスは、アトピー性皮膚炎などで出るかゆみを和らげようと開発された新素材。肌触りがソフトなポリエステル素材の糸に、酸化を抑えるトルマリン鉱石と、遠赤外線効果のある紀州備長炭を超微粒化して混ぜ込んで織った。「かゆみの原因となる肌への刺激を抑え、かつ体を温めることで血流をよくし、体が本来持っている免疫力を高めた」と竹村氏は説明する。
開発は8年前にさかのぼる。国産にこだわって価格競争に巻き込まれない商品をと考えていたときに免疫学専門の大学教授との出会いがあった。「利益が出るまで時間はかかるがじっくり腰を据えてできるか」と覚悟を問われ、「3人の子どももアトピーで苦しんだ。社会貢献にもなる」と事業化を決断。「科学的根拠に基づいた商品に」と大学病ナ院で血行促進効果を確かめる検証も行い商品化した。
だが量販店などに売り込もうとしても「高いうえに(薬事法上の制約で)効果もうたえないのでは売りづらい」と門前払い。そこで対象者がいる病院にターゲットを変え、治療用として使ってもらった。徐々に口コミで広がり、現在では血行促進効果や温熱効果も注目され商品のアイテムは下着からサポーター、手袋、靴下、包帯まで250に拡大。
近年は「温熱効果で関節の可動域が広がり高いパフォーマンスが出る」とスポーツ選手の愛用者も増えているという。ナノミックス関連商品の現在の年商は1億円弱。今年からはコンビニエンスストアでの販売も強化し、知名度アップを狙う。
(取材・文・山口裕史)