捨てられるものに一工夫でエコグッズ
ノベルティーやアパレル副資材を扱う株式会社マーク(大阪市西区)の中村正樹社長。1988年に創業し、洋服の襟元や毛布についている、ブランドロゴを表す「織ネーム」の企画製造から出発した。当時は「ネームはネーム、下げ札は下げ札」と縦割りに業者が決まっていた時代。北陸地方や京都の西陣で素材の勉強をし、デザインを含めた提案力には自信を持っていたが、顧客ニーズの多様化に合わせ、さらに取り扱い商材の裾野を広げることを決意した。持ち前の探究心からアパレル副資材、雑貨、販促物と業容を拡大し、今では本社ショールームに収まりきらないほどのワッペン、ボタン、洗濯ネーム、ショップバッグなどが並んでいる。
第二の転機となったのは、業界全体が不況にあえいでいた5年前。歴史ある企業には揺るぎない自社商品が存在し、それが従業員や取引先の生きる糧になっていくべきだという確信から、当社オリジナル商品の開発に着手した。その結果、多くの人の協力を得て完成したのが「エコ・タッグ」だ。名刺やDMはがきなど、紙資材に植物の種を埋め込んでいる。ミシン目の部分から切り離して土の上に置き、水をかけると、水溶紙がフワッと溶け、種が発芽する仕組みだ。タキイ種苗株式会社から発芽率を高めるためのアドバイスを受け、二人三脚で開発に成功した。環境配慮型の商品イメージを模索するアパレル企業から早速受注があり、靴下を結束するためのヘッダーに採用されることが決定し、滑り出しは好調だ。また尼崎信用金庫が環境改善に寄与する製品を表彰する制度「あましんグリーンプレミアム」においても優秀な成績をおさめた。
「マーク」という社名はロゴや標章を制作するマーク屋を示すと同時に、顧客に驚きと感動を与えるビックリマークの意味も込められている。「自社オリジナル商材で、顧客も従業員も幸せにしたい」。そう意気込む中村社長の机には、エコ・タッグから発芽したスイートバジルの葉が揺れていた。
(大阪産業創造館 プランナー 竹内心作)
▲「エコ・タッグ」の種から育った植物を持つ中村社長
株式会社マーク