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海外でつくり、海外で売る 日系家具メーカーの挑戦

2014.03.07

2013年10月7日。カンボジア・プノンペンで生産工場の竣工式が行われた。設立したのは、業務用家具メーカーの三吉(みつよし)。日系家具メーカーとしては日本初となるカンボジア進出で、現地の上院議員が訪れたり、日本のテレビ局が取材に来たりするなど注目が集まった。

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同社は20年以上前から中国などの提携工場で海外生産を行ってきた。2012年10月には、中国進出する日系企業の現地拠点の内装工事を請け負う目的で上海事務所を設立。「ところが尖閣問題で日系企業の中国進出が軒並みストップし、事業計画の修正を余儀なくされた」と前田氏は振り返る。

上海事務所は当面、中国の提携工場で生産する家具の品質管理拠点として存続させ、「3~5年後には東南アジアで自社生産した家具の販売拠点として活用する」という。そして東南アジアでの自社生産の第1弾進出先として選んだのがカンボジアなのだ。

中国での生産コスト上昇に頭を抱えるなか、円安進行を機に東南アジアへのシフトを決断。各国を視察したところ、カンボジアは経済発展の息吹を感じると同時にローカルの家具会社がなかった。「いまがチャンス」と進出を決め、事業パートナーのトライアジアグループとの合弁でカンボジア工場を立ち上げた。

現在、日本人のベテラン技術者をカンボジアに派遣し、現地工場の技術指導にあたっている。今後、日本の工場にカンボジア人研修生を受け入れ、日本的経営を学ばせたうえ、現地工場の管理スタッフとして活躍してもらう予定だ。東南アジアで家具をつくり、海外市場で販売する。日系家具メーカーの挑戦が始まった。

201403kaigai_kojyo▲2013年10月に行われたカンボジア工場の竣工式の様子。

株式会社三吉

代表取締役社長

前田 佳孝氏

http://www.e-mitsuyoshi.co.jp/

設立/1951年 従業員数/48名 事業内容/飲食店や大型ショッピングモールなどの業務用家具を製造・輸入販売する。高品質かつローコストの製品提供で定評がある。