産経関西/産創館広場

管理栄養士と生みだす健康食

2013.02.18

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2012年12月、外食市場ではビールが前年比で7%減と大きく縮小。しかし客単価は逆に上がっていて、たまに行くなら高くても良い店にという消費者の価値志向の高まりが見てとれる。「本物を提供しないと生き残れなくなっているのが飲食ビジネス」と、株式会社RETOWN(リタウン)の松本篤社長は言う。

同社の強みは、野菜、魚、肉に至るまで、生産者との直接取引することによって流通コストをかけない仕組み。焼鳥、焼肉、鉄板焼、海鮮、バー、カフェといったさまざまな業態で、顧客に旬の食材をふんだんに使った料理をリーズナブルに提供している。今では日本とベトナムで延べ60店舗以上を運営している。

また、人材紹介事業をはじめ、調理の基礎技術、生肉の処理、寿司を握る技術などでの料理人の育成や、店舗物件の不動産事業も展開。飲食業の課題をタイムリーにつかみ、ワンストップで解決している。

これらの取り組みにより、飲食業態として顧客を満足させる一定の完成形は確立できた。だが、次に目指すのは“健康”の付加価値だという。食材の組み合わせや調理方法といったノウハウはもちろん、管理栄養士とタッグを組むことで、栄養を加味したメニュー開発に取り組もうというもの。体系的な栄養知識を持つ管理栄養士は、集団給食の管理や栄養指導以外にも、地域貢献や、飲食業界の現場でのサービスや、レシピのアドバイスなど活動のフィールドを広げたいと思う人が多いことから、その機会を提供できるのではないかと考えた。

4月には本社を置くなんばO-CAT内に、昨年同社が開業したスポーツジムや病院と連携して、患者を対象に食事と運動を併せたプログラムをスタートする計画。プログラム実施の前後3カ月で、糖尿病予防効果を測定する。

さらに、なんばのターミナル立地という特性を生かして、“地産都消”をテーマに、野菜市や食材の良さを伝える体験型のイベントを日常的に行える仕組みも検討中だ。

消費者、産地、都市の3者が喜ぶ仕組みを創るために、必ず課題は出てくる。そんな時は「できないことは自分たちでやる!」をモットーに、新しい発想とネットワークを一つ一つ積み重ねながら一歩ずつ前進してきた。「同じ思いの人がつながることで、結果的に元気な飲食業界の輪が広がれば」と語る。

(大阪産業創造館シニアプランナー 西前綾子)

株式会社RETOWN

http://www.retown.co.jp/