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斜めに打っても大丈夫 既成概念を超えて誕生した建築用ネジ

施工時に水漏れしないネジをつくってほしい

「斜楽」という洒落た名前の建築用ネジがある。斜めに打ち込んでも、水漏れしにくい特殊な構造になっているという。どういうことだろうか。たとえば工場の老朽化した屋根を改修する際、既存屋根の上に新たに屋根を乗せる工法がある。そうすれば工場の稼働をストップせずに改修ができる反面、ネジを斜めに打ってしまうと隙間が生じ、水漏れが発生するケースがあった。屋根メーカーとの取り引きもある平田ネジは、「斜めに打っても水漏れしないネジをつくってほしい」との難題を突きつけられた。そこで約5年前に開発したのが「斜楽」なのだ。

一般のネジの頭部座面は平らになっているため、斜めに打つと隙間が生じ、水漏れの原因となる場合がある。一方、斜楽の頭部座面は半球状で、シール材(ネジの受け皿となる素材)の全周に密着するため水漏れが発生しにくい構造となっている。最大15°まで傾斜しても止水効果を発揮するので、現場の職人が誤って斜めにネジを打ったり、あるいは下地の関係で斜めに打たざるを得ない場合でも水漏れの心配が軽減した。

既成の枠を超えた発想に問題解決のヒントがある

建築用ネジを中心にネジ全般を扱う同社は、顧客の要望に対して「できない」とは絶対に言わない企業風土があるという。「だから顧客企業からは施工時の問題をネジで解決したいという要望をよくいただきます」と平田社長。斜楽もそんな顧客ニーズから生まれた製品の一つなのだ。

それにしてもなぜ斜楽のようなアイデアが生まれたのだろうか。「ネジの頭部座面はフラットでなければならない、というのが業界の常識。この既成概念にとらわれていては、斜楽は生まれていませんでした」と言い切る。実は、斜楽を開発した技術者はネジ業界一筋ではなく、鉄鋼など多くの業界を渡り歩いた人材だった。さまざまな分野を経験した技術者だからこそ発想が飛躍し、座面に丸みを持たせるアイデアを閃いたのだ。既成の枠を超えた発想に問題解決のヒントがある―どの業界にも当てはまる至言といえるだろう。

顧客ニーズがあるからこそ新たな製品開発に挑戦できる

当初は屋根メーカーの1社のみに納品していたが、「面白いネジなので他にもニーズがあるのでは」と一般販売に踏み切ることになった。そこでこだわったのがネーミングだ。「最初は乗り気ではなかったんです(笑)」と振り返るが、営業に押し切られて斜楽に決定。そして本家(?)の東洲斎写楽が描く浮世絵をデザインしたインパクトあるポスターを制作したところ、「非常に受けがよかった」。

まず手始めに、太陽光パネルの設置用ネジとしての売り出しから始めた。商社の営業に同行して斜楽をPRしたり、新聞広告への出向や展示会への出展も行っている。さらに今後は太陽光パネルだけでなく、水回り関係全般に販路を拡大する方向だ。「お客さまのニーズがあるからこそ、新たなネジの可能性に挑戦できる」と同氏。だからこそ情報収集に力を入れ、「ネジの常識を覆す新たな製品を開発し、顧客ニーズに応えていきたいですね」。

 

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▲斜めに打っても隙間ができないネジ「斜楽」。異なる業界出身の技術者ならではの発想。

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▲【技術力研鑽の極意】「できないとは絶対言わない。常識を超えたネジを開発する」(代表取締役社長 平田 政弘氏)

2012年11月10日
平田ネジ株式会社
代表取締役社長  
平田 政弘氏

設立/1970年 資本金/2,400万円 従業員数/50名
事業内容/建築用ネジを中心にネジ全般を扱う。ネジ製品の多種・多様化・小ロット化に対応するため、顧客ニーズに合わせた形態での袋詰め加工や組み込み加工など、必要なネジを必要な分だけ納品できるアセンブリー体制を整備している。

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