産経関西/産創館広場

やるからにはホンモノを

2014.05.12

木村アルミ箔株式会社(大阪市生野区)は食品包材メーカーとして1930年に創業し、オリジナル製品の開発に注力してきた。独自に開発した電子レンジでの調理が可能なフィルムケースが大手コンビニチェーンからの注文を受けるなど、本業が軌道に乗る一方で、食べられるカップ「海苔(のり)のうつわ」「昆布(こんぶ)のうつわ」や大阪土産「大阪名物たこ焼き茶漬け」といったユニークな商品開発にも取り組んできた。

代々受け継いできたのは「よそとちゃう(違う)ことせなあかん」という創業者の言葉だ。この精神を受け継ぎ、木村裕一社長は次々と新規事業に取り組んでいるが、その背景には基本的な会社の仕組みづくりの徹底がある。

かつては従業員数人の家族経営だったが事業拡大で従業員が増えていくにつれ、商品の品質を維持するためには基本ルールが必要だと考え、ISO9001「品質マネジメントシステム」を取得した。以降、月に1度コンサルタントによる徹底的な現場チェックを実施し、「継続的に改善できる」体制を社内に浸透させてきた。

その後、食品メーカーを主な対象としているISO22000「食品安全マネジメントシステム」を包材メーカーとして日本で初めて取得。生産管理現場を標準化することにより新規事業に取り組みやすい態勢が整い、前述の食品事業拡大のきっかけにもなった。

また木村社長は「問題意識・好奇心を持て」という方針のもと、社員教育に費用や時間をつぎ込んできた。営業マンを対象に製造現場を体験させる研修を行ったところ、提案型の営業ができるようになったり、工場の従業員が中心となって食品安全管理チームを結成し改善活動を進めていくうちに、パート社員だった人が工場長に登用されたりと、社内の活性化につながっている。

同社オフィスの休憩スペースに掲げられた年間スローガンは「なんでもちゃっちゃとしぃや」。従業員に伝わるようにと社長が考案したものだが、大阪弁とイラストで表現されているため、親しみやすく分かりやすい。商品も会社も「やるからにはホンモノをつくりたい」と語る木村社長の姿勢は従業員にも浸透し、同社の社風となっている。

(大阪産業創造館 プランナー 住友綾子)

sankeikansai140512▲ユニークな年間スローガンは毎年、木村社長が考案している

 

木村アルミ箔株式会社

http://www.kimura-alumi.co.jp/index.html