ものづくり

【ビジネスチャンス倍増プロジェクト】生地印刷の新技術 少量受注を強みに取引先拡大

2014.03.07

baner
生地に柄を印刷する方法には大きく分けて二つある。複数の型を使って染料を刷り込む捺染(なっせん)、そして印刷機を使って生地に印刷する熱転写プリントだ。熱転写プリントの中でも欧米のアパレルメーカーが近年こぞって採用しているのが、高熱、圧力をかけることによって転写紙に印刷した柄のインクを気化させ生地に色を浸透させる昇華転写プリントだ。加工の過程で生じる排水を出さず、環境負荷が少ない点が高く評価されている。

さまざまな生地への昇華転写プリントを10年前から手がける武菱の武田氏は、その長所について「自由に色を再現できるので美しくプリントすることができる。また、捺染は色ごとに多くの型を使うため数百メートル単位からでないと注文を受け付けないのに対し、3メートルから受注できる」ことを挙げる。

昇華転写プリントは、基本的にポリエステル、アクリル、ナイロンなどの合成繊維に限られるが、武菱では生地に特殊加工を施すPROX(プロックス)加工を独自に開発し、綿、麻、絹などの天然繊維への印刷も可能にした。レディースアパレルやバッグ向けの受注が多く、「特にレディースアパレルの展示会用として、短納期、小ロット、低コスト化が実現できるとあって昇華転写プリントが使われるケースが多い」と武田氏。

年々、増加しつつある需要に応えるため昨年11月、本社から兵庫県丹波市に工場を移転し、あわせて最新鋭の機械を導入した。2012年の秋に大阪産業創造館のナビゲーターから10社を超えるマッチング先の紹介を受け、このうちバッグメーカーが前向きに導入を検討しているところ。「今後は大手アパレルメーカーやスポーツメーカーにも売り込んでいきたい」と攻めの姿勢だ。

201403bcbp_hito▲大阪産業創造館 ナビゲーター 寺内 允(左)、代表取締役 武田 寛治氏(中)、営業部 本部長 山川 正博氏(右)

株式会社武菱

代表取締役 武田 寛治氏 / 営業部 本部長 山川 正博氏

http://www.takebishi.jp

設立/1986年 従業員数/15名 事業内容/転写プリント加工および販売。オリジナルの柄とヨーロッパなどから仕入れた生地を選んでオリジナルの生地をつくるOEM製品事業も展開している。