熱い魂が伝播する中小企業応援サイト

熱い魂が伝播する中小企業応援サイト

身につけるコンピューターで 自在に広がるコミュニケーション

メガネ型ウェアラブルコンピューター「InfoLinker」。装着するとディスプレイが表示され、リアルタイムで必要な画像や映像が映し出される。パソコンやスマートフォンが無くても使用可能だ。

メガネ型ウェアラブルコンピューター「InfoLinker」。装着するとディスプレイが表示され、リアルタイムで必要な画像や映像が映し出される。パソコンやスマートフォンが無くても使用可能だ。

目線の先にディスプレイ

ウエストユニティスはメガネ型のウェアラブルコンピュータの開発と販売に長く携わってきた。「ウェアラブルコンピュータ」とは〝身につけるコンピュータ〟のことで、さまざまな情報をハンズフリーの状態で得られるのが特長だ。

2015年に発表した「InfoLinker」は最新タイプで、メガネに小型のコンピュータと光学レンズを搭載。「メガネをかけるように装着すると、目の前に7インチほどのディスプレイが見え、そこに画像や映像が映し出されるしくみになっています」と福田社長は説明する。

InfoLinkerはパソコンやスマートフォンがなくても使え、タッチセンサや音声で直感的に操作できる。両手がふさがる作業現場では音声でディスプレイの情報を切り替えられるので、パソコンやタブレットを手で扱うわずらわしさもない。「たとえば組立工場の作業員が装着すれば、両手をとられることなく、ディスプレイに映し出されるマニュアルを確認しながら組立作業ができるのです」。

装着して作業にあたっている人が見ているものをカメラで撮影し、そのデータを遠隔地にリアルタイムに転送するのも可能だ。たとえば保守・メンテナンスの現場や、迅速な対応が求められる故障の修理現場などでは、対応するスタッフの力量が作業のスピードや質を左右する。

この場合、現場スタッフが装着することで、そのスタッフの目線で撮影される動画を、遠隔地で待機する熟練者が確認しながら的確な指示が出せる。

時代が追いつくのに15年

同社はメンテナンス用マニュアルの制作会社として1984年に創業し、紙媒体のマニュアル制作を始めた。しかし大手の印刷会社や制作会社が市場を席巻し、新規参入が難しい現実に直面。「そこで当時としては無かったフルアニメーションマニュアルのシステムを開発したんです」。

これは文字の代わりに映像で説明する電子マニュアルのこと。同社のシステムは映像で直感的に理解できると高く評価された。

しかし閲覧用のパソコンが必要となるため、工場現場では使いにくいとの声が上がった。代替案を模索するなか、同氏が着目したのがヘッドマウントディスプレイ(メガネ型のディスプレイ装置)だった。手始めに、市販されているヘッドマウントディスプレイに改良を加え、アニメーションマニュアルを表示できる試作器を開発。

「ところが、ウェアラブル? 何やそれ? という反応で見向きもされませんでした。15年も前なので、時代が追いついていなかったのでしょう」。

その後も模索を続け、閃いたのがモータースポーツへの進出。ヘッドマウントディスプレイを装着したピットクルーがテレビに映ることで話題になると思ったからだ。そこで自動車メーカーとタイアップし、鈴鹿8時間耐久レースのピットクルーに製品を無償で提供。狙い通りテレビに映り、メディアからの取材が殺到、これを機に開発の依頼が舞い込み始める。

west

テレパシーで友だちと交信?!

「製品開発で最も苦労したのは資金調達ですね」と表情を引き締める。名もなき小さな会社は信用力が低く、金融機関では融資判断がおりないのだ。加えて融資担当者にウェアラブルコンピュータの説明をしてもいまひとつ理解してもらえない。結局、ベンチャーキャピタルなどから資金をかき集め、開発に充当してきた。

もう一点、苦労したのは開発環境だ。当初は既製品を調達して改良を加えていたが、装着感や装着方法などいずれも理想にかなうものはなく、最終的に自社で開発することに。そこで設計は社内で行い、デバイスの製造は台湾企業に依頼することになった。「ところが資金調達と同様、企業規模が小さいので信用してもらえず、開発の指示や改善要求にスピード感を持って対応してもらえないのです」。

結局、台湾からは引き上げて日本の企業や設計者を片っ端から探し、開発環境を整備。2014年、「InfoLinker」の前身となる「inforod」の開発に成功した。現在は産業用途を中心に約300台の納品実績があり、今年はすでにその何倍もの受注がある。海外展開も視野に入れ、来年度までに3000~5000台の納品が見込まれる。

「InfoLinkerは作業負担を軽減してくれるツールですが、近い将来、身につけているのも忘れるほどのウェアラブルコンピュータが登場するかもしれませんよ」と声が弾む。「たとえばアイツなにしてるかな? と考えるだけで、その人と連絡をとりあったり、気持ちがわかったりするのも技術的には可能ですから」。まるでテレパシーのように人と人がコミュニケーションするのも夢ではなさそうだ。

代表取締役 福田 登仁氏

代表取締役 福田 登仁氏

ウェスト

(取材・文/高橋武男)

2015年03月09日
ウエストユニティス株式会社
代表取締役  
福田 登仁氏

資本金/4,955万円 設立/1991年 事業内容/ウェアラブルコンピューティング、ソフトウェア・システム開発。

読者アンケート
ライター募集 フリーペーパーについて 本サイトについて

今月の町工場で働くオトコマエ

      
Bplatzのツイッター Bplatzのfacebook