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【バイオニクス長編】人生は一度きり、世の中を変えるような製品を生み出したい

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血流認証による人物識別技術の研究開発を行うバイオニクス株式会社。一般住宅用へのエントランスシステムの導入・メンテナンスを中心に事業展開している。製品の着想を得たNY勤務時代。帰国後、創業に至るまでの経緯。事業への想いを聞いた。

 

>>> 起業する以前は、商社勤務だったそうですね。

繊維の最終製品をつくる仕事に携わっていました。ファストファッションの会社が快進撃を続けていた頃です。その後、会社から勉強させてもらうチャンスを頂きました。好きな国で自分の好きなことを勉強させてもらえる制度があり、金融を学ぶためニューヨークへ。20代後半の2年半、外国籍の監査法人で働きました。こんなチャンスをくれた会社に、今でも感謝しています。

 

>>> NYで起業のヒントに出会われるんですね。

当時、アメリカはITとバイオのバブル真っ最中。インターネットバンキングや電子カルテの導入が進んでいました。しかし、カードなんて簡単に人に貸せるし、暗証番号も盗み出せる。これは大きな弱点です。

その頃、住んでいたマンションの共用部分が手の形を認証して入る仕組みで、それを見た時に衝撃を受けました。鍵を持ち歩く煩わしさも失くす心配もなく、個人を認証できる。生体認証技術は今後、さまざまな分野に応用できると確信したのです。

自分でも勉強を続けていくと、血管のイメージ図を見る機会がありました。血管のパターンは一卵性双生児でも同じではないと聞き、これはいけるんじゃないか、と。手の形よりももっと正確に、個人を特定できるのですから。

 

>>> 商社を辞めて、独立するのは勇気が要ったのでは?

NYで働き学ぶうち、日本人が金融で勝つのは難しいと感じるようになりました。金融の世界は狩猟的な考え方が根底にあるんです。そこに獲物があるから狙い、消費する。獲物がいなくなれば移動する。農耕民族はそうじゃない。四季に順応しながら丁寧に土地を耕し、作物を育ててきた。それはまさに、ものづくりに近しい思想です。30歳でそのことを実感し、自分の気持ちがものづくりに傾いていきました。今はない技術や製品をじっくりと育て、作りあげていく。そのことに関心が移っていったのです。

折しも母親がアルツハイマーを発症し、カードや鍵を持たせておけない事態に遭遇。生体認証であれば、生きている限り鍵を持つことになる。これはビジネスになるんじゃないかと。今から思えばそれほど大きな勝算はなかった。でも、情熱だけは溢れるほどありました。

創業して間もない頃、商社時代の上司が自らの決済で1000万円の融資をしてくれました。「勤めていた会社から出資されるということは、サラリーマン時代、おまえが真面目にやってきたことの証明になる」と。その言葉は胸に沁みましたね。

 

>>> 事業が軌道に乗る最大のきっかけは?

創業から3年後の2004年、マンション用のエントランスシステムを大規模に導入できたことが大きなきっかけとなりました。全戸に指認証の鍵を導入したのですが、初めての試みでクレームも多かった。成長していく子供や、爪の長い女性など、オフィスよりもいろいろな人が利用するわけですし。しかし、そのおかげで改善点が洗い出され、製品としての精度があがっていきました。

そのマンションを手がけていたのが、以前、勤めていた商社。クレームがあった時も、堪えてなんとか使い続けてくれました。全く関係のない企業であれば、即座に切られていてもおかしくない。大きなトラブルがあった際は、撤退するか、全戸に頭を下げて回って再びチャンスをもらうかを迫られましたが、使い続けてくれたからこそ、後者を選ぶことができたのです。

翌年には二例目のマンションにエントランスシステムを導入し、そこから本格的に事業を軌道に乗せることができました。

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2014年07月09日
バイオニクス株式会社
代表取締役社長   
須下幸三氏

血流認証による人物識別技術の企画・調査・研究開発。一般住宅用へのエントランスシステムの導入・メンテナンスが強み。「鍵を持たない利便性」と「紛失・盗難リスクを回避する安心」を両立する。

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