Bplatz press

袋づくりを起点に食品メーカーのサポーターへ

2014.05.09

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関西のある高級スーパーの紙袋は、雨に濡れても長持ちすると評判だ。秘密は、外側と内側の紙に、耐久性と耐水性の機能を併せ持った素材が挟み込んであるサンドイッチ構造にある。この丈夫な紙袋の製造を主に請け負っているのがエビス製袋所だ。1953年の創業時に、関西でいち早くドイツ製の紙袋製造機を導入したことをきっかけに、小売店向けに商品包装用の紙袋の製造を増やしていった。

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その後、塩ビやナイロンなど化成品を素材にした袋が多用されるようになり、協力工場と提携して化成品の扱いも増やしていく。こうした袋にかかわる多様な要望に応えられる力を生かし、雨に濡れても長持ちする紙袋のような新しい提案を組みこんだ特注品も製造している。

だが日本経済のデフレ化と歩調を合わせるように、コスト重視の風潮が強くなり、10数年前に取引先の軸足を小売店から食品メーカーへと移していく。精肉、青果、惣菜、菓子など多岐にわたる食品分野で、生鮮品の劣化を防ぐパッケージからラミネート包装材まで幅広く対応している。

萩原氏は3年前、亡き父の後を受け、30歳で社長に就任した。前職の訪問販売会社でひたすら新規開拓で顧客を増やしてきた経験をもとに「外に出てもっと新たな取引先を増やそう」と考え、異業種交流会の場などに積極的に出向いている。金属加工会社向けに開発した金属製品がさびないようにする包装材もその成果のひとつだ。一方で食品メーカーへの営業のきっかけ作りとして昨年から除菌消臭剤の販売も始めた。

「どうしても守りに偏りがちだった」社風に攻めの風土が根付きつつあり、昨年は包装品を納入しているある菓子メーカーからの依頼で、商品の箱詰め作業も請け負うようになった。「最新の機械もなければ、特別な技術があるわけでもないが、袋にかかわる知識では負けない」。自前でものづくりができる強みをベースに「食品メーカーのトータルサポート企業」として自社の価値を見出しつつある。

 

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▲昨年販売を開始した除菌消臭剤「Jガード」。

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▲外側と内側の紙に、耐久性と耐水性の機能をもつ素材が挟み込まれている。

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元金融マン竹内が紹介する各信金の特長

地域から必要とされる歴史長き信金
永和信用金庫
昭和6年の創立以来、独立系の信用金庫として地域社会に貢献してきました。中小企業からの信頼は厚く、「永研会」では若手経営者が定期的に集まり、勉強会を開いたり、互いに企業訪問をし合ったりと交流を深めています。熱意のある中小企業が取引先に多いのも永和信金の特長なのです。

竹内 心作大阪産業創造館「中小企業応援団」事務局

大阪市の中小企業支援拠点「大阪産業創造館」と大阪府下の約32の金融機関が協働で、中小企業の事業成長をサポートする「中小企業応援団」を立ち上げ、商談会やビジネスマッチングの仕組みを多数展開。前職は金融マン。金融機関の事情にも中小企業の事情にも精通する必殺仕掛け人。

株式会社エビス製袋所

代表取締役

萩原 慎太郎氏

http://ebisuseitai.co.jp/

紙袋の製造からスタートし、平袋、包装紙、ギフト用箱など各種紙袋製品を製造。協力会社と提携し、化成品フィルム、化成品袋など紙、化成品を素材にした各種包装品も製造している。