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激戦100均市場 “常設催事場”で勝負

2014.03.07

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「meets.」「シルク」の2つの屋号を中心に100円ショップを全国に約900店展開する。競合大手が軒並みファッション化、大規模店化へと舵を切る中で、平岡氏は「店舗にかける費用をできるだけ抑え、小さな売上げでも利益が出る店舗を数多く出店する」という創業来の経営姿勢を守り続ける。

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創業者は平岡氏の義父。前職が催事移動販売業で100円限定ショップを経験していた。「小さな元手で始められる商売であることが決め手になった」と1995年の創業の経緯を代弁する。小売不況も相まって空き店舗になった場所への出店依頼がどっと押し寄せた。店は増やしたいがリスクは負えない。店の面積は100坪以内とし、内外装にはあまりお金をかけず、出店時には必ず「1カ月前の告知で退店でき、違約金は払わない」という条件をつけた。

店には社員を置かず、パート従業員に任せた。こうしたローコスト出店へのこだわりとともに、創業時に貫いたのはすべて直営店で出店したことだ。フランチャイズのオーナーは大きくきれいな内外装の店舗を求めがち。「そうした要請に一つ一つ応えていたらとうてい企業の体力が持たない。限られた資金の中で最善の判断をしてきた」と振り返る。

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だが、2003年に平岡氏が社長を継いだ頃、競合他社はPOSレジを導入して“鮮度”にこだわった商品を置き、同時に店の大規模化をどんどんと進めていた。平岡氏に焦りがなかったといえば嘘になる。

「もう一度立ち止まってワッツの商売のやり方を振り返ってみた。他社の多くは当社と同様、催事移動販売でスタートしながら小売業への脱皮を図ろうとしているのに対し、うちがやっていることはあくまで催事販売の延長線。それならうちは常設催事場のコンセプトでいこうと考えた」。迷いが消えた。従来通り小規模店での出店を貫き、定番商品に絞ることで徹底的にコストを抑える。その代わり品質にこだわった商品を並べた。

国内の100円ショップ業界が踊り場を迎えつつある中、今注力するのが海外戦略だ。タイに9店のほか、中国に3店、マレーシア、ベトナムにも1店を展開し、ダイソーにこそ水を開けられているものの、海外出店では業界2番手につける。

タイでは地元の最大手小売業者と提携も果たした。「将来は海外事業が国内を上回らないと意味がないと思っている」と平岡氏。海外でも変わらず身の丈の範囲で出店する戦略を貫きながら出店ペースを上げていく。

watts_tenpo▲全国に約900店展開する。

watts_sinazoroe▲内外装にはお金をかけず、定番商品に絞って商品を置く「meets.」。

▼【ロングインタビュー】「身の丈経営」で全国から世界へ “常設催事場”として他社と一線を画す
https://bplatz.sansokan.jp/archives/1959

 

株式会社ワッツ

代表取締役社長

平岡 史生氏

http://www.watts-jp.com/