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【「金のとりから」長編】キーワードはインパクトと話題性 空前のから揚げブームの大阪代表

から揚げ専門店「金のとりから」を現在国内外に21店舗を展開する株式会社シマナカ。見た目に目立つ黄色い看板と「金のとりから」のネーミングのインパクトは強い。だが、プロジェクトにかかわっていたフードサービス事業部課長、霜降芳男氏が当初抱いていた店舗イメージは和風の落ち着いた雰囲気だったという。「金のとりから」が誕生した経緯を聞いた。

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〉〉〉本業は鶏肉店ですね。

創業は昭和26年で、当初は鶏の飼料を販売からスタートしました。現在は、3つの事業を行っています。一つ目は、鶏肉卸事業です。九州などから仕入れた生肉を各部位に加工し、関西圏の量販店を中心に納めています。二つ目は鶏を中心とした加工食品の製造・販売です。照り焼きや、蒸し鶏、サンドイッチの具材等を飲食店などに納めています。そして三つ目が「金のとりから」の事業です。現在国内17店、韓国4店の計21店を展開しています。

〉〉〉なぜ、から揚げの店を始めようと。

それまで手がけている事業はいずれも卸事業でしたので、よりユーザーに近いところで末端のお客様の声を聞いて商品開発に生かせるような商売をしたい、と嶋中社長は考えていました。話が出たのは平成20年の暮れごろでした。ネットの事業部を立ち上げて、製造している惣菜を直販で売っていこうと考えていく中で、それなら小売店も持っていたほうがいいだろうということになりました。

当初は、焼き鳥店や鶏料理店等のアイデアが上がってきたのですが、そのうち京都の新京極に5坪ほどの店が構えられる場所を押さえたということで小ぢんまりとしたテイクアウトの店をやることに決まりました。ネットで売るときに「京都の~」とつければ、売りやすいだろうという考えもありました。店のイメージも屋根瓦を強調した和風のつくりをイメージしていました。

そして、「手軽に、美味しく、楽しく」をキーワードに、具体的な商品を考えていきました。絞り込んだのが、から揚げ、手羽先、京野菜を入れたつまみ揚げの3品です。何せ飲食小売は初めてでしたので、まずどこかで試してみようということで、尼崎のショッピングセンターの催事に出店してみました。2日間、目の前で揚げたての商品を販売したのですが、思ったほど売れませんでした。

聞いてみると、「何を売っている店なのかわかりにくい」という声が多く挙がったんです。今思えば、そこで一度失敗を経験していたのがよかったんですね。何を売る店なのかをもっとはっきりさせようと考え、から揚げ一本に絞り込むことにしました。

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〉〉〉そこから「から揚げ」を売っている店だと印象付けるための取り組みが始まったんですね。

まず、考えたのが商品名。「鳥匠」という名前を考えたのですが、これでは何を売っているのかわかりません。そこで社内公募しました。その中で、ぴんと来たのが「金のとりから」です。後でわかったことですが、社長が投票した名前でした(笑)。

次に考えたのがから揚げを入れる包材です。はじめは、紙コップに入れて「金のとりから」のシールを貼ればいいという程度で考えていたのですが、やはりそれではインパクトが弱いな、と。やはり食べ歩きしてもらうのだから、持って歩いたときにすれ違う人に目立つようにしよう、と。持って歩いているのはなんだろうと思ってもらって、歩いていく先に同じ黄色の店があるなと気づいていただけると考えました。お客さんに看板になってもらう作戦です。

いつの間にか、和風でいこうというアイデアはどこかにいっていました(笑)

〉〉〉から揚げそのものではどんなこだわりを。

鶏肉卸ですから、まず良質の国産肉が安定的に供給できることは強み。あっさりと食べていただけるように脂肪の少ないムネ肉を使うことにしました。そして何より一番のこだわりは、やはり、美味しい揚げたてをいかに食べていただくかというところです。

お客様の注文を受けてから揚げることになるのですが、通常から揚げを揚げる場合5分程度はかかります。しかし、お客さんに待っていただける限度はどのくらいかと考えると1分くらいだろう、と。それならばどうしたらよいかと考え、鶏肉の形状を火が通りやすいスティック状にし、高温で揚げることにしました。1分ですと、ジューシーさが飛ぶ前に揚がる点もメリットです、ただ、その分カリッと感が出ません。そこをカバーするために外側につける粉を工夫して、カリッと揚がるようにしました。

〉〉〉そしてトッピング。中でもチョコレートがあるのには驚きました。

食べ歩きながらスナック感覚で食べていただくので、われわれの競合は、たこ焼きであったり、クレープであったりするわけです。そうするといかに楽しんでいただけるかについても考える必要がありました。そこで自由に自分でかけることのできるトッピングを思いつきました。8つのスパイス、トッピングがあるのですが、ひとつくらいは面白いものにしようと考え、チョコレートにしました。

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トッピングにはもうひとつの狙いがありました。味付けの部分をお客様に任せることができるので従業員にとっての作業効率がいいということです。工場から鶏肉が届いて、後は揚げるだけでいいので、アルバイト初日から楽に始められます。もう一つは店がオープンしてからわかったことなのですが、トッピングは人目を引く効果があります。トッピングしているお客さんたちが店の前で楽しそうに人だかりをつくると、通りかかった人が、なんだろう、と思うわけです。

〉〉〉1号店はいかがでしたか。

予想していた通り、中高生に受け入れられました。開けてみて驚いたのは女性客の比率が高かったことです。そこで女性が喜びそうなトマトバジルなどのトッピングも考えました。

しかし順調に推移した客数が夏場になると落ちこんでいきました。サンドイッチマンで広告したり、ビラを配ったり、試食をしてみたり、と必死でしたね。中高生に喜ばれるものはなんだろうと考え、お店でサイコロを振ってもらい目に応じてから揚げを増量したり、じゃんけんで勝ったらもう一つプレゼントしたりと週替わりでミニゲームを考え、集客を図りました。チョコレートのトッピングについてもそうですが、話題性のあるものを仕掛ければ中高生はケータイやスマホの口コミ効果が高いので、「こんなお店あるの知ってる?」とあっという間に友達に広めてくれます。話題をいかに作るかがポイントですね。

秋になるとまたいきなりお客さんの数が増えだし、翌年に2号店を神戸の三宮に、3号店を大阪のアメリカ村に開店しました。アメ村に出したことで、メディアに載る機会が増えて一気に認知度が高まりました。当時は直営店だけでやるつもりだったのですが、取引先から店をやりたいという話があり、関西以外のエリアであればという条件で、東京・渋谷にもFCで出店しました。

日本唐揚協会が企画した「からあげグランプリ」の第2回、第3回、味バラエティ部門で最高金賞を獲得したことも大きな反響が得られ、これもメディアの露出が増えるきっかけになりました。

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〉〉〉から揚げブームをどうとらえていますか。

ブームは怖いですね。一気に引いてしまうから。そこで一番大事なことは生き残ることです。2番手、3番手では残ることはできません。常に先頭をめざして走っていかないと。社長の付き合いのある会社が韓国に縁がある関係でソウルに出店しましたが、今後は東南アジアの市場もターゲットに定め、インドネシアなどで市場調査も始めています。もともとアジアではから揚げが比較的浸透しているので、受け入れられやすい土壌があります。また、牛肉や豚肉と違って、宗教を気にすることなく食べていただけるのでハードルは低いのではと考えています。

▼Bplatz press 3月号本紙に掲載された記事はコチラから
http://bplatz.sansokan.jp/archives/2020

2014年03月07日
株式会社シマナカ
フードサービス事業部 課長  
霜降 芳男氏
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