産経関西/産創館広場

家庭で葉野菜育てる水耕栽培器

2013.08.19

自宅の庭やベランダで野菜や植物を栽培する家庭は多いが、水耕栽培はまだ少ない。室内で水耕栽培ができる機器を開発・商品化したのが、ユーイング(大阪市浪速区)だ。自社ブランドの冷蔵庫や電子レンジ、扇風機、電気暖房機などを企画から製造まで一貫で手掛ける企業。若手女性デザイナーの企画を取り入れた商品や、上下・左右の自動首振り機能を持つ扇風機など、ユーザーのニーズをつかんだユニークな商品ラインアップが特徴だ。

その中でも、今年から販売を開始した水耕栽培器「Green Farm」は、家の中で手軽に新鮮な葉野菜を育てられ、食育の観点からも子育て中の親世代をはじめ、幅広い世代層から好評を得ている。3年前に植物工場を見学した深田芳彦社長が野菜の美しさに感動し、「家庭で手軽に体験してもらいたい」と考え、プロジェクトチームを立ち上げた。

ゼロからの開発には多くの課題があった。栽培野菜品種の選定に始まり、成長に最適な光の照度の検証、さらに水耕栽培に不可欠な液体肥料に必要な成分の調査。関連する専門企業や大学・研究機関と協力関係を築きながら、製品化にたどり着いた。商品の工夫は付属の種子にもある。種まき時に小さな種子をつまみやすくするために外側にコーティングを施している。

3月の発売後、家電量販店などで売り場を作るなどし、滑り出しは順調だ。その一方、次の製品開発のため、購入者への訪問インタビューも行っている。土耕栽培と水耕栽培の違いや、何に喜び感動したのかなどを聞き、育てられる野菜が限られている中で利用者の要望を把握することで開発のヒントとしている。

野菜を育てることの楽しさ、成長する野菜を眺めることから得られる癒やし、育てた野菜を食べる喜びなど、家庭での水耕栽培で得られる感動や体験は、同社の開発担当者らが想像した以上に広がりを見せている。常に新しい機能を取り入れ、快適な商品を生み出す同社のさらなる展開が期待されている。

(大阪産業創造館 シニアプランナー 多賀谷元)

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▲家庭で葉野菜を育てるユーイングの水耕栽培器

株式会社ユーイング

http://www.uing.u-tc.co.jp/index.html