社内飲み会で社員全員が顔を合わせ、絆を深める
「カンパーイ!!」
色とりどりのオードブルを前に缶ビールを突き上げ、飲み会がスタートする。「待ってました」とばかりに各自ビールを喉に流し込み、料理を旨そうにつまみながら会話が徐々に盛り上がっていく。
ここはシステム開発会社「大化物流開発」のオフィス。ソフトウェア開発の仕事は社外に常駐するケースが多く、社員同士が顔を合わせる機会が少ない。そのため月に一度、常駐者全員が会社に戻り会議を兼ねた飲み会を開く。
「開発の仕事はチームワークが大事。相手を認め、自分も認めてもらう。そんなお互いの理解に不可欠な会なんです」と入江社長は説明する。
料理を用意したのは、ITエンジニアの土屋さん。「昨日は夜の8時につくり始め、寝たのは朝の4時頃かな」と笑う。そんな料理好きでサービス精神あふれる土屋さんが入社したのは1年半前。前職のシステム開発会社では「常に社外なので所属会社のオフィスがなく、他の社員と顔を合わせたこともなかった」と振り返る。
だから今が楽しくてしょうがない。「飲み会以外にも社内に趣味のクラブがあって、社員のみんなと友達感覚で付き合いができるし、その良い関係のまま仕事も進められる」と言う。
同社は、前職で同じ会社に勤めていた辰巳さん、入江社長、鎌倉さんの3名で創業。名前の頭文字をとって「タイカ(大化)」だ。
日進月歩で技術が進歩し体力もいるITエンジニアは40歳定年と囁かれる。「そうした状況を改善するために物流業界に特化し、特定分野の技術を蓄積して活かせる環境づくりに取り組んでいます。年長者になっても活躍できる会社にしたい」と入江社長は力を込める。
このミッションに共感して昨年入社したのが川野さん。「40歳を超えて転職活動し、働けるチャンスをもらった。面接で交わした入江社長の力強い握手が入社の決め手」と身を乗り出す。
そんな川野さんが感じる会社の良さは「誰でも意見が言いやすく、些細な声でも受け入れてくれるところ」。入江社長も「現場の意見や提案は一切否定しない。やったらええやんのひと言ですわ」と相好を崩す。
そんな入江社長は以前、飲み会の席で「この会社の良いとこって何?」と社員全員に聞いて回った。すると「風通しが良いところ」という答えが一番多かったという。「それってどういう会社?」と聞き返すと、「社長が社員にこんな質問をするってこと!」と笑って返された。
風通しの良さが社風をつくり、強固なチームワークを生み出している。
▲代表取締役 入江 徹氏
(取材・文/高橋武男 写真/福永浩二)