猫の爪切りトラブルを解決 爪とぎボード「bibi Nyan」

猫にとって欠かせない、爪とぎ。その爪とぎに、「爪切り」機能を加えた商品がある。株式会社NeCoNe(ネコネ)が開発したbibi Nyan(ビビニャン)だ。「爪を切るときに、じっとしていない猫がいますよね。爪が鋭いと、なにかの拍子に人間が怪我をしてしまう。そういうトラブルを解決するグッズがないかと思ったんです」と開発の経緯を話すのは、代表の山田氏だ。

代表取締役 山田貴弘氏
市販されている積層ダンボール製の爪とぎボードを見ると、猫の爪痕が特定の部分に集中していることに気づく。「そこにヤスリを入れたら、爪が当たって削れるのではないか」。それをヒントに試作品づくりが始まった。思案したのは、ヤスリを入れる位置だ。最初はボードの底面に紙ヤスリを敷く案を考えたが、それでは薄い段ボールがあっという間にボロボロになる。そこで、段ボールの表面に10本のスリット(切り込み)を入れ、直角に紙ヤスリを装着する方法を考えた。自宅で飼っている猫や友人宅の猫で使い勝手を試してみたところ、実際に爪が削れることを確認できたため、商品化に踏み切った。

ところが、発売後ほどなくして改良を迫られることになる。一部の消費者から「爪が削れない」という声が寄せられたのだ。「猫には個体差がありますからね。若くて体の大きい猫は爪をとぐ力も強い。紙ヤスリだと短期間に破れてしまったようです」と振り返る。そこで、ヤスリの一部を布ヤスリに変更。そうすることで、爪切りの効果と商品の耐久性の両方が向上し、消費者からも「ちゃんと削れた」という声が届くようになった。

発売後は、猫好きが集まるイベントなどに積極的に出かけ、PRに努めた。なかでも効果があったのは、クラウドファンディングだ。1,000人を超える支援者が集まり、目標額を達成。飼い猫の爪切りに悩むオーナーの関心の高さがうかがえた。素材には環境に配慮したリサイクル紙をはじめ、紙ヤスリの砥粒に天然素材のガーネット、クッション材に生体毒性のない発泡ポリエチレンなどを採用。こうした配慮も、猫オーナーたちに安心感を与えた。2022年のリリース時には1万個を販売し、その後も順調に売れ行きを伸ばしている。動画広告の再生回数も200万回を超えた。

bibi Nyanは、その設計の独自性から特許も取得している。最近では「もっと強く削れるものがほしい」という声に応え、ヤスリをすべて布ヤスリにしたハード版をリリース。今後は、海外マーケットへの展開にも力を入れていきたいという。

(取材・文/荒木さと子 写真/福永浩二)
※掲載写真は、編集部にて撮影したもの以外に、取材先企業からご提供いただいた写真も含まれています。
《 失 敗 秘 話 》
子猫用は不要か?
クラファンでは生後6か月を超えた子猫向け商品も出してみました。サイズを小さくして、ヤスリの硬さも調整し、子猫にやさしい仕様にしたものの、結果まさかのゼロ。1つも売れませんでした。ある程度まとまった数を製造しなければならないため、途中から「このまま1つも売れないでくれ」と願ってました(笑)。子猫って猫全体の約4%しかおらず、マーケットが小さいんですよ。うちとしては、子猫用は不要という結論に至りました。









