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季節商品は 「つくって、売り切る」

2015.06.09

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主に女性を対象とした季節モノのリラックスグッズを企画・製造・販売するサンハーティネス香産。洋服と同じように時代のトレンドを取り込み、季節ごとに商品を総入れ替えし、ワンシーズンで全て売り切るのが命題だ。「消費者のニーズを先取りし、こんな商品ほしかった! と思ってもらえるグッズをいかに企画できるかが売上を伸ばすポイント」と後藤氏は言う。

たとえば夏モノでは、接触冷感素材を使った枕やネッククーラーなどを長くシリーズ展開してきたが、定番化していたこともあって次のヒット商品の模索を続けていた。同社の商品は女性がターゲットなので美容をテーマにしたものの、化粧品はハードルが高く難しい。「そんなとき営業を通じてUVカット素材を使ったアームカバーの提案があったんです」。理由を聞くと、取引のある大手雑貨店から「アームカバーは売れているが、若い女性が好む商品がない」と相談されたという。「アームカバー? えっ、おばちゃん?」と最初は社内の評判は良くなかったが、「おしゃれな商品をつくれば受け入れられる」と商品化に乗り出した。

企画したのは2タイプ。1つは「絶対焼けない」をテーマに遮蔽率99.9%の素材を使い、黒を基調としたエレガントなデザインに。もう1つは「困りごと解消」をテーマにズレ防止、部分焼け防止など消費者ニーズにピンポイントで応える機能性を持たせ、ナチュラルなデザインに仕上げた。

2008年にこの2タイプを売り出したところ、後者のナチュラル路線は狙い通り売れたが、前者のエレガント路線はコケてしまった。「理由は明白で、『遮蔽率99.9%!』とデカデカと強調したパッケージが奇抜すぎたこと。さらに中身の商品もよく見えず、アームカバーのデザインを訴求できなかった」と分析する。

翌シーズン以降はその反省を活かし、エレガント路線の最新版ではパッケージを化粧品のようにシックなデザインに刷新するとともに、商品にはシルバーの刺繍を施してエレガントな雰囲気を強調。これが女性の心を捉えてヒットした。「企画が当たると嬉しいが、外れると在庫が残る難しい商売。トレンドを追う時代から、『トレンドに縛られない』流れに変わってきた。自分達がつくりたいものをつくろうとする気持ちが原動力だ」と語る。

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▲開発会議は頻繁に開催。生地を確かめ、商品を着用してデザインの良し悪しを見極める。

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▲新商品開発後は展示会に出展。業者の目を引くよう商品の特長を明確に打ち出す。

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▲UVシリーズはアームカバーから始まり、ストールや帽子など16アイテムにまで増えている。

【失敗秘話】専門外の商品を出す際は要注意?!

「売れると思ったのに、まったく売れなかった」。そんな数ある商品の中から教えてくれたのが、「パーティ パーティ」というヘアアクセサリ。「パーティでカチューシャをつけて写真を撮り、SNSにアップする女性が増えていたので当たる」と思い企画したが、結果は惨敗。同社の主力商品は健康雑貨だが、パーティグッズで売り場を開拓できず、営業力を発揮できなかったのが敗因。幸い、小ロットで生産していたので損失は小さくて済んだ。

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取締役 企画部部長 後藤ゆうこ氏

取締役 企画部部長 後藤ゆうこ氏

(取材・文/高橋武男)

株式会社サンハーティネス香産

取締役 企画部 部長

後藤 ゆうこ氏

http://shf.co.jp/

設立/1990年 資本金/1,500万円 従業員数/19名 事業内容/シーズンリラクゼーション関連をはじめとした生活雑貨を自社で企画から製造、販売まで行う。総アイテム数は約2000点、大手雑貨専門店に卸している。