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【長編】異色の経歴社長が美容業界で仕掛けた新業態

フロムファーイースト
大阪芸大時代から、フリーのグラフィックデザイナーとして活動する傍ら、テレビ番組の制作やフリーペーパーの発行など異色の経歴を持つ阪口氏。美容室チェーンの経営参画を経て、現在はエクステンションやウィッグを始めとした美容関連商材を扱う会社を経営する。座右の銘は「世の中を変える」という同氏。社名の「フロムファーイースト」のとおり、東洋から世界へ拡げる事業展開に取り組んでいる。

〉〉〉芸大を出られているんですね?

デザイン学科で空間デザインを学んだのですが、図面を引くのは自分には向いていないと思い、在学中からフリーでグラフィックデザインの仕事を始めたり、フリーペーパーを発行したり。そんな活動をしながらだったので、結局大学生活は5年間送ることになりました(笑)。

〉〉〉卒業後はデザイン系の会社に?

そうでもないんです。大学時代からすでにフリーとして働いていたので、会社組織に入り、社会人としての経験を積みたいと思いました。そこで人材サービス業のヒューマンホールディングに入社したんです。広報的な部署に入り、PRのためのデザイン制作物をつくるような仕事に携わりました。同社は当時、上場準備をしている時期だったので、経営に関する仕事を実践的に学べたのはいい経験になりましたね。

1年で退職後、次に進んだ道は人材サービスとはまったく別の美容室チェーンです。大学時代に発行していたフリーペーパーに、メリットもないのに毎月広告を出し続けてくれていた美容室オーナーに恩返しがしたいと思っていたからです。

前職で経営の勉強をした経験を活かし、大胆にも経営企画に参画させてもらえるようにお願いしました。その際、年商1億だった会社の業績を3年で12億に倍増させる経営計画を作成し、「1年でも達成できなければ辞める」と宣言。半ば無理やり働かせてもらえることになりました。その結果、1年目に3億円、2年目に6億円と計画通り倍増させ、3年目は9億円と計画には届きませんでしたが、業績を大きく向上できたんです。

〉〉〉どうやって短期間で年商を拡大させたのでしょうか。

当時、流行り始めていたヘアエクステンションとの出合いです。初めてエクステを見た瞬間、おそらく人とは違う感覚を持ったんです。美容室は当然ながら髪を切る店ですよね。でもエクステの技術を使えば、「髪を伸ばす店」という新しい業態が生まれると直感したんです。そこでエクステを主力製品として事業化することになりました。

おそらくエクステ専門店を世界初だったんじゃないでしょうか。美容室でエクステをつけている人を見ると、シャンプーをしないケースがほとんどだったんです。ならばシャンプー台なしで店舗展開できると考えました。

そこで百貨店や商業施設に営業攻勢を仕掛け、敷地面積の小さなデッドスペースを活用したエクステ専門店の展開を提案しました。まだエクステがあまり知られていない時期だったので交渉は難航しましたが、百貨店と商業施設での同時オープンに成功。その結果、4.5坪の小規模店舗で1ヶ月に400万円を売り上げたんです。百貨店のデッドスペースで1坪100万円を売るテナントはほとんどありません。これで評判を呼び、最終的に全国に15店舗まで拡大しました。

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〉〉〉その後、独立されています。

恩返しは十分できたと思ったので、そろそろデザイン事務所でも開業しようかなと考えていました。すでにエクステ専門店の競合も増えてきていたので、得意分野に戻ろうと思ったんです。でもエクステ専門店の競合が増えているということは、自分がエクステのサプライヤーになれば競合が顧客になると商機を感じたんです。そこで2003年に有限会社エクステンドを設立し、エクステを販売するようになりました。

独立当時の目標は、「ヘアエクステンションメーカーでトップシェアになること」と「美容室への直接販売網を持ち、流通革命を起こすこと」。テレアポと飛び込み営業を重ね、3年後には47都道府県すべてに販売網を開拓しました。そして目標通り、トップシェアを獲得することができたんです。

エクステだけでなく、オリジナルウィッグの展開にも力を入れました。理由は、美容室のメニューを開発したいと思ったからです。現在、美容店は全国で約22万店舗あります。これは全国のコンビニの4~5倍なんです。これだけ多くの美容室があるにもかかわらず、基本的なメニューはカット、カラー、パーマの3つだけです。エクステが4つ目のメニューとすれば、5つ目のメニューを開発すれば美容室に受け入れられると考えたわけです。

美容師に自分の髪のようにカットしてもらい、自分だけのオリジナルウィッグをつくるというサービスです。いまでは美容室の来店促進や客単価の向上に貢献するメニューとして定着しています。

〉〉〉事業化するうえで障壁はありましたか?

実は2度、経験しています。1度目は2008年のリーマンショックです。他の産業と同様に美容業界も打撃を受け、いままで成長を続けてきたエクステ市場が一気に縮小してしまったんです。独立後の初の困難に見舞われました。

2度目は2010年、為替デリバティブの失敗です。仕入れ価格の安定のために為替デリバティブ取引を行っていたところ、超円高の影響で3億円弱の損失を抱えてしまいました。たちまち債務超過になり、経営は危機的状況に陥りました。この苦境を乗り切れたのは、ある恩人のおかげです。懇意にしていたベンチャーキャピタリストに相談したところ、「お前の商才にかける」といって多額の融資をその場で即決してくれたんです。しかも、買戻しの額や期間といった契約条件もなし。私は必ずプラスにして返すつもりですが、その方には一生頭が上がらないですね。

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〉〉〉今後の事業展開は?

10年前に子どもが生まれてから、家庭では健康に気を遣った生活をしてきました。そうして健康に興味を持って生活のあらゆるモノを選択し始めると、そういう商品って自然環境にもよいモノであると気づいたんです。こうして私生活での学びを深める一方で、会社の経営はあくまで利益重視で、業績を拡大するための商品開発を行っていました。

私生活では健康に気を配っているけれど、商売では利益追求。次第に家庭と事業でやっていることが矛盾していると思うようになりました。日本には20万店舗以上の美容室で40万人以上の美容師が働いています。ですが、多くの美容師が手荒れで辞めていくという現状がある。主な原因はシャンプーする際の水、シャンプーなどの石鹸類、カラー剤、パーマ剤です。これらは化学薬品が多く使われ、サービスを受けるお客様にも悪影響があるのは容易に考えられます。そこで完全に天然なヘア関連商材を開発しようと思い立ったんです。

天然の材料を使った染色技術で毛染めできないだろうかと社員と話をしていた際、草木染めの高い技術を持った日本人がアジア某国の密林で活動しているのをテレビで見たと聞き、すぐさま連絡を取って会いにいきました。その方と意気投合し、現在、落ち葉の色素でつくった天然のヘアカラー商品を開発中です。2014年春頃に発売予定です。

実は、エクステやウィッグなどの美容商品そのものには大きな興味はないんです(笑)。それよりも、商品やサービスを使って世の中を変えたい。東洋から世界へ向けて、世の中を変革するような業態や商品を生み出していきたいですね。

2013年12月09日
フロムファーイースト株式会社
代表取締役  
阪口 竜也氏

設立/2003年 従業員数/10名

事業内容/美容商材の開発、販売。現在、完全無添加のシャンプー、ヘアカラー剤を開発中

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