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にも、どこのだれが生産した米でできた商品なのかが案内されている。「そうすれば私たちの接客も変わってくる。お客さんも安心できるし、生産者もつくりがいがあるでしょう」。山本氏が社長になってから開発した商品の1つに、近江米を使ったお餅にオリーブオイルをかける「オリーブ大福」がある。食材を探すイタリアの旅でであったオーガニックオイルだ。「広大な農場内は電気自動車しか走れない徹底ぶり。経営者は城主の方で、まちの自然環境に配慮し町じゅうにオリーブを植えたという話を聞きながら、すぐに契約を決めました」。オリーブオイルと和菓子、イタリアと日本。地域を愛し、伝統と革新から生み出される商品。彼のものづくりへの姿勢にたねやの哲学を重ねた山本氏は帰国後、オリーブオイルを使った商品の開発を始め、オリーブ大福が誕生した。山本氏にとって世の中で何が売れているかは重要ではない。地域にこだわり、世界にも目を向け、その中から良い材料を探し出して、「たねやであればどう表現するかを考え、提案する」。その判断基準はただ一つ、「世の中にとって良いか悪いか」。栗饅頭は創業した明治5年以来の伝統銘菓だ。一見何の変哲もない饅頭にこそ、たねやの革新が詰まっている。「140年前は、おなかいっぱいになる甘い大きな饅頭でしたが、今は、それでは売れません。小さくして、あっさりさせるために栗の量を増やし、あんこの糖分も減らしています」。だが、それはあ道を究める背中を見せるる時に一気に味を変えたわけではない。「お客さんに気づかれないように、その時代その時代で少しずつ進化をさせてきたのです。お客さんに、この栗饅頭、味が変わったな、と言われてはいけない。喜びを感じるのは、いつも変わらん栗饅頭やねと言われた時です」。生涯にわたって取り組むのは「道を究めること」と山本氏。先代がそうであったように伝統と革新の心で道を究め続ける山本氏の姿は、いま中学一年生の息子の心にも響いているに違いない。たねやグループCEO山本昌仁氏http://taneya.jp/会社DATA創業/1872年従業員/1700名事業内容/和菓子舗「たねや」、洋菓子「クラブハリエ」などを展開。グループ全体の店舗数は42店、2012年度の売上げは201億円。「たねや」らしさを貫く経営【社長トークライブ】成熟市場で革新と成長を続ける山本社長の講演決定2/20木詳しくは裏表紙右下に!紙面では紹介しきれなかったロングインタビューはこちらから▼http://bplatz.sansokan.jp/archives/1637申込み受付中!!03