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は、2012年に東日本大震災の被災地を訪ね、福島第一原発30km圏内で“帰村宣言”が出たばかりの福島県川内村への進出を即決した。3年後に稼働させ、まずは30人の雇用をめざす。「福島で作った省エネ素材を全国に使ってもらうことで復興支援にもつながる」と意気込む。量産化に向け、タイル地の大型化を産地に呼び掛け、コスト削減も同時に進める。現在、3原色の蓄光塗料を開発中、これが完成すればあらゆる色で光を発することができる。「避難誘導の標識に使われることは当たり前の時代がやってくる。事故を防ぐために飛行機や船に使われるかもしれないし、特別な色の光に集まってくる魚の特性を生かせば漁具にも応用できる」。社名にも込めた「未来を担う子どもたちを支える商品作り」に向け、思いをいっそう強くしている。器タイル「ルナウエア」は、多治見焼のタイルの上に有田焼の絵付け技法を組み合わせて生み出された伝統技術の融合の産物だ。光を溜め込むことのできる蓄光剤が表面に塗られており暗闇でも自然に光を発する。停電時でも8時間光り続けるため、非常口を知らせる標識板などへの利用が進んでいる。従来の蓄光建材としては樹脂に蓄光剤を練り込んだ製品が先に広く普及しつつあるが、「熱に弱く、摩耗によってだんだんと蓄光性能が衰えていくことが弱点。それに比べ、磁器は耐久性があり、熱にも強いため火事などの災害時でも機能を失わない」と岩本氏は磁器ならではの強みを説明する。コドモエナジーは2004年の創業以来、床暖房用の蓄熱板を開発、販売してきた。その後、有田焼の窯元で蓄光磁器の製造に取り組む職人を紹介された。販売に苦磁労しているのを見かね、共同特許を出願した上で応援に乗り出すことにした。課題は品質と価格。「芸術性を追い求めて作品を作るという発想を捨て、安定して大量生産できる商品に変えていくことが最大の課題だった」と振り返る。タイル地の上に、蓄光剤を含む顔料とガラス材料を混ぜた上薬を塗るのだが、タイル地と上薬がつくるガラス地の膨張・収縮度合いが違うため、焼いた時に表面にひび割れが起きてしまう。この度合いを同等にするには上薬に含まれるシリカやアルミナなどの成分を多くする必要があるが、入れ過ぎると透明度が失われ、蓄光剤の光を透過しにくくなる。「最適な成分調整を見出すまでに7年の年月を要した」。伝統技術を生かした省エネ商品として2012年には「ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞した。量産工場の立地を探していた岩本氏コドモエナジー株式会社http://www.codomo-e.co.jp▲日中の光を溜め込み、暗くなると自ら光を発する。▲?庭の演出や遊歩道の装飾などイルミネーションとしても使用されている。代表取締役岩本泰典氏岩本社長のロングインタビューはWEBで公開中http://www.sansokan.jp/bplatz/02Bplatzpressvol.146