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同社の主要株主にはソニー元会長の出井氏やGoogle日本法人元代表の辻野氏などそうそうたるメンバーが名を連ね、社内では大手バイクメーカーOBや有名大学卒の優秀な若手エンジニアが働く。彼らは「電動バイクで世界を変える」という同氏の掲げるビジョンに共感し、集った有志なのだ。垂直統合から水平分業への転換期にある現在は、日本のベンチャーが飛躍するチャンスでもある。「ベンチャーに必要なのはロジックとパッション。時代がダイナミックに変わる中、日本のベンチャーがどう変わるか。私が先陣を切って成功モデルを後進に示したいですね」。ロジックとパッション閉塞した日本の突破口を開いてみせる2010年に設立後、わずか2年で電動バイクの国内シェアでトップに立ったテラモーターズ。創業者の徳重氏は、大手損保会社を退職後にアメリカのシリコンバレーに渡り、ベンチャー企業の経営に携わってきた異色の経歴を持つ。「当時はただシリコンバレーに行きたい一心だった」という同氏。渡米してわかったのは、「アメリカのベンチャーの役割は産業構造を変革するツール=vということだった。Googleが検索エンジン技術でネットの世界を一変させたように、アメリカのベンチャーは確かな技術を持ち、世界に大きな影響を与えている。一方の日本のベンチャーはどうだ。イノベーションを起こせるような企業は少なく、いまだに大企業の格下というイメージすらつきまとう。「ならば自分がベンチャーを立ち上げて、閉塞した日本のビジネス社会の突破口を開いてやろう」。そう誓った。2006年に帰国後はアメリカと日本を行き来し、「日本の技術を世界へ」という視点で事業を模索した。その際のキーワードは「イノベーション」と「グローバル」。すなわちグローバル規模でイノベーションを起こせる日本の技術は何か、ということ。調べていると、シリコンバレーの仲間がEV事業をやっているという声が目立った。「なぜIT企業が電気シリコンバレーで見たアメリカの起業家たち自動車?」と最初はピンとこなかったが、「垂直統合から水平分業へと産業構造の大変革が起こっているのが見えてきた」。水平分業とは、複数のメーカーが得意分野を持ち寄って製品を組み立てるものづくりをいう。EVの分野はこの水平分業が主流で、垂直統合でものづくりを展開してきたエンジンメーカーは逆に参入が難しい。さらに日本の電動バイク市場はまだ小さく、製造部品もエンジンバイクに比べて4分の1程度。環境に対する関心も高まっているいま、電動バイクで世界で勝負しようと決意した。2010年の創業時は自己資金2000万円でスタートし、現在の資本金は6億円を超える。主力商品「SEED」シリーズは最安で9万9800円〜と、「電動バイクは高い」というイメージを払拭し、需要を急速に掘り起こしてきた。業界未経験の同氏がなぜ製造業の分野で急成長を続けられるのか。「それは産業構造の変化の波に乗ったこと、そしてビジョンやマインドに共感する人が集まってくれたこと」が要因だという。世界でイノベーションを起こせる日本の技術は何か日本のベンチャーの成功モデルを示したい会社DATA設立/2010年従業員数/15名事業内容/電動バイクの国内トップ企業。最安9万9800円〜の主力商品「SEED」シリーズを始め、一般業務用「BIZMO」シリーズ、シニアカー「ACSIA」を展開する。今後はベトナムを起点にアジア進出も見据える。TテラerraMモーターズotors株式会社代表取締役徳重徹氏(中央)http://www.terramotors.co.jp/?徳重社長のロングインタビューはウェブマガジンで公開中http://www.06Bplatzpressvol.143sansokan.jp/bplatz/