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経営理念は「ImpactOnTheWorld」世の中を変える会社になるロックオンは創業4年目の2004年に自社開発の広告効果測定ソフト「AアドエビスDEBiS」を市場に送り出した。それまでECサイトやホームページの受託制作に徹していたが、「受託制作だと喜んでもらえるのは発注してくれた会社だけ。より多くの人に喜んでもらおうと自社製品を開発した」と岩田氏は語る。当時はWeb上で検索連動型広告がようやく増え始めた頃。簡単なアクセス解析ソフトこそ出回っていたものの効果までは測りがたく、「ADEBiS」では、どの広告が何回クリックされ、どれだけ購入、問い合わせ、資料請求にまで結び付いたのかを一元的に測定、分析できるようにした。ネーミングにこだわり、キャラクターを作るなど遊び心も手伝って、すぐに事業の柱に育った。ロックオンの評価をさらに高めたのは2007年に出したオープンソースのECサイト構築パッケージソフト「EイーシーキューブC-CUBE」だ。もっとも「当初の評判は散々だった」という。社内からオープンソースの非を問われた。「大切なノウハウを無料で配布するなんてみすみす収益機会を逃しているようなもの」。そして社外からは「価格破壊だ」と。オープンソースのソフトをビジネスで使うという概念がまだなかった頃だけに滑り出しの動きは鈍く「それみたことか」と叩かれた。だが、口コミでじわじわとユーザーが増えていく。利益が出るまでに3年を要した。開発の根底には常に「エンドユーザーにとって役立つかどうか」という視点がある。「知的好奇心を満たしてくれるとは思えなかった」大学に幻滅し、バックパッカーとして世界を歩き、アルバイトにいそしんだ。20歳の時、アルバイト先の居酒屋を買い取った。「従業員はやる気がない。お客さんは喜んでいない。オーナーも苦しんでいる。自分がやるしかないと思った」。結果失敗に終わる。何を始めるにも、まずは自分が自信を持てるスキルを身につけてからと思い直す。独学でネットワークシステムの勉強をして、今度はインターネットの旅行情報会社を興した。これも長続きしなかったが、どんな時も「自らが主体になって切り開く」信念を貫いてきた。2010年に、世界に打って出る橋きょうとうほ頭堡としてシリコンバレーにリサーチ拠点を設けた。現地の経験はすべて新鮮で「日本人が内向きである」ことを痛感する日々。昨年はベトナムにもオフショアの開発拠点も設けた。経営理念は「ImpactOnTheWorld」。世の中を変えるような会社になることだ。「たとえて言えばイチローのように、世界で活躍する日本企業を作って日本人の価値観を変えたい」。穏やかな人柄で静かな語り口の中にも、うかがえるのは力強い決意と情熱。そこには日本という国を自ら鼓舞しようとする秘めた闘志に溢れている。創業4年目で開発した自社製品が転機シリコンバレーにリサーチ拠点設け、世界の海原へ会社DATA設立/2001年従業員数/53名事業内容/Eコマース関連ソフトウェア、インターネット広告関連ソフトウェアの企画・開発・販売。広告効果測定システム「ADEBiS」、ECサイト構築パッケージ「EC-CUBE」、リスティング自動入札ツール「AutoBid」は、全て国内シェアナンバーワン。株式会社ロックオン代表取締役社長岩田進氏http://www.lockon.co.jp/?岩田社長のロングインタビューはウェブマガジンで公開中http://www.sansokan.jp/bplatz/Bplatzpressvol.14303