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ターゲットは高齢者ヘルパー付き引越しサービス人ホームなどの高齢者施設への入退去や遺品整理に特化した、高齢者向けサービス「シルバー住むーぶ」を展開している。「ホームヘルパーのいる引越屋さん」を掲げた業界初のサービスで、2人のヘルパー2級資格者が常駐しているのが特長だ。30年前、協同組合に入り軽トラック1台で運送業の請負をスタートしたのが始まり。1990年代初頭にバブルがはじけて以降、運送量も運賃も細る一方だった。銀行マンだった宮氏が父の跡を継ごうと入社する際、打開策として新たに狙ったのが景気に左右されにくい個人マーケット。そこで引越し事業に参入したが、並み居る大手事業者の牙城を崩すのは困難を極めた。競合しないマーケット領域を考えるうち、たまたま祖母の介護経験を機にヘルパー資格を取得したことで「高齢者の単身世帯」市場に目をつける。「説明に時間がかかる」「値段に厳しい」顧客を相手にするだけに他社がやりたがらない分野でもあった。「ヘルパーがいる」ことを売り文句に介護業界へ営業をかけたが反応は鈍かった。「介護保険外のサービスのため、ヘルパーが必要されるわけではない。必然性を問われた」と宮氏。だが実践を積むうちヘルパーとしての知識が大いに役立つことがわかった。「例えば左半身不随の方は右手を軸にして体を動かそうとするので、左手側に壁が来るようにベッドを置くといい」。そのような説明をすると安心感が伝わり、だんだんと仕事が増えていくようになった。当初は直接ヘルパーのもとに営業に回っていたが、保険外のサービスも含め要介護者のケアプランを作成する決定権がケアマネージャーにあることもわかりターゲットを明確に絞ることができた。蓄積したノウハウとブランド使用権をパッケージにして全国の運送業者に提供し、現在までに17都道府県に拡大。インターネット検索で「高齢者引越し」と入れると「シルバー住むーぶ」が上位に出るようにSEO対策も施すなど入り口作りも抜かりない。また、たんすの移動や家具の組み立てまでトラックと運転手を時間貸しする「タイムレンタル住むーぶ」として商品化し、こちらも好評だ。高齢者ビジネスの拡大が期待される中、同社では全売上のうち高齢者向けのサービスが1割を占めるまでになり、毎年10%超の伸び率で売上を増やしている。市場調査や統計情報、アンケート結果を分析しそこから医療・健康介護・看護の新たな「ビジネスチャンス」を探る「新ビジネスの種」。シニアマーケット基礎数字や介護ロボットへのニーズなど毎月1回テーマを絞ったレポートを掲載しています。会社DATA設立/1981年資本金/1,500万円従業員数/6名事業内容/トラックを使った法人向けチャーター便運送業が主力。個人事業をターゲットとして引越し事業が加わり「シルバー住むーぶ」「タイムレンタル住むーぶ」を展開している。セイコー運輸株式会社専務取締役宮豪氏http://www.1359.co.jp/TEL06-6682-1359老▲サービス利用者の高齢者施設への入居が決まると、ケアマネージャーやヘルパースタッフから連絡が入る。介護スタッフや家族の意向に合わせて、ヘルパー資格をもつスタッフが荷づくりなどの引越し準備を行う。▲17都道府県に広がった「シルバー住むーぶ」を展開する運送会社との交流会。互いのノウハウを共有することで、新たなサービスが生まれる機会になっている。シニアBplatzpressvol.14003