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インターネットを使って、専門家に24時間相談できる。専門家からの回答は、原則2営業日以内。※約140人(2012年6月現在)の専門家の中から選べる。無料無料専門家に直接じっくり相談したい人は面談がおすすめ。有料専門家が会社を訪問し経営課題の解決をお手伝いします。経営課題が明確でない場合でも、十分な事前打ち合わせをすることで、課題の発見から取組みます。※派遣価格12,000円/回(大阪市が36,000円の2/3を負担)校の保健室にそろえる健診器具や医薬品を中心に官庁向けの物品卸を手がける。創業来60年で築きあげた信用で商売を守ってきたが、近年、官庁の物品納入は、価格だけで契約が決まる電子入札が増え、じわじわと経営を圧迫しつつあった。伊藤氏が父から社長を継いだのは2年前のこと。「行き詰まりを感じていた。新しいことを始めなければと思いながらも、何から手をつけていけばよいのかわからなかった」と当時の心境を振り返る。「マンネリ化した視点ではなかなか新たなものは生まれない。客観的に会社の状況を見てもらい、指針を仰ぎたい」。そう考えた伊藤氏は、大阪産業創造館の経営相談室を訪ねた。後日、訪れた産創館のコンサルタントの泉氏からまず指摘されたのは「会社の方向性が定まっていない。これでは社員はどこを向いて走っていいかわからない」ということだった。そこで、「お客さんにとって価値を提供できる企業」をめざし、「幸せ創造企業」を新たに経営理念として掲げた。「顧客価値」を創造するためには、「お客様に困りごとについてアンケートをとってはどうか」と社員から提案があり、そこからいくつかの事業アイデアが出てきた。その一つがトイレのメンテナンス事業だ。子どもたちの掃除だけではなかなか手入れが行き届かず、悪臭を放ったトイレが使われなくなっているという学校側の課題を解消するサービスで、臭いのもとになる尿石を洗浄する薬剤を使って社員が清掃に赴いている。並行して進んだのが、独自の商品作り。二酸化塩素を放散する特殊フィルターを使って、インフルエンザウイルスやノロウイルスなどを除菌するクリーナーを開発し、商品化した。次に理念を社内に浸透させるために手がけたのは行動計画。伊藤氏がつくった行動計画案をたたき台に、「誰が、何を、いつまでに」というところまで泉氏と二人で落とし込んでいった。その結果、社員から具体的な提案が出てくるようになり、ある社員は季節性商品の販売時期の変更を自ら提案・実践し、売上に結びついた。社員は9割が20代〜30代。「若い世代に会社の明るい未来像を見せることが経営者の責務」と語る伊藤氏は、「10年以内には給料を2倍にする」と公言し、社員のモチベーションを高めている。最近では、社員が能動的に動いているのを実感している。「会議も以前であれば報告だけで終わっていたのが、お客様との話の中で出てきた事業ニーズをお互いに出し合えるようになった」という。「これも『顧客満足度業界ナンバーワンをめざす』という理念が浸透し、どうすればお客様に喜んでもらえるかを普段から考えられるようになった成果」。社長就任後、社員は一人も辞めていない。「誰かに背中を押してもらわなければここまでたどり着けなかった」と伊藤氏。オリジナル商品の開発、インターネット販売、学校の保健室向け以外の商品の供給など取り組みたいテーマは山ほど出てきた。「これからも泉さんにアドバイスをもらいながら新たな分野に挑んでいきたい」と次のステップをめざしている。大和化成株式会社代表取締役伊藤秀之氏http://daiwakasei.sakura.ne.jp/TEL06-6767-3133学校の保健室を中心に教育委員会などへ健診器具や医薬品などを販売。理科実験に使う機器、試薬なども扱う。会社DATA設立/1952年資本金/1,000万円従業員数/11名▲会議も以前とは様変わり。社員からどんどん新商品のアイデアが出てくるようになった。?社員の提案を元に作られた自社開発商品の数々。理念を明確にしたことが最大のポイントでした。伊藤さんは打てば響くタイプ。先頭に立って、なりたい会社に向け社員を巻き込んでいかれました。今度は「10年以内に給料を2倍にする」ための戦略作りをお手伝いしたいですね。担当コンサルタントからの一言大阪産業創造館経営相談室コンサルタント泉仁史発行所/〒541-0053大阪市中央区本町1-4-5公益財団法人大阪市都市型産業振興センター(大阪産業創造館)TEL06-6264-Bplatz201207vol.1389800編集協力/デイジーヒル株式会社