《講演録》小さなエビ工場の奇跡

≫人件費を大幅圧縮。高い生産性の実現と、高品質化につながった『働き方改革』。

現在、当社の売上げは1億円前後で順調に推移しています。注目して欲しいのは人件費。人件費が『働き方改革』を推進する前後で大きく変わったのです。以前は1200万円ほどあった人件費が、3年後には730万円にまで大幅に圧縮。

その理由は、業務効率が大きく向上したからです。『働き方改革』により、個々のパート従業員のスキルが上がり、退職した従業員の分をカバー。新規雇用をせずに、高い生産性を維持することができるようになりました。

さらに、品質も大幅に向上。人は潜在的に「綺麗なものをつくりたい」という想いを持っていると思います。しかし、仕上がったものが“ぐちゃぐちゃ”になってしまうのは、職場に不満があるから。その不満が、品質にダイレクトに現れてくるのです。

当社の場合も「エビの加工」の結果に如実に現れ、以前とは見違えるような品質になりました。『働き方改革』の推進により、業務スピードがアップしただけではなく、高品質な商品づくりにも繋がったのです。

さらに、メディアにも大きく取り上げられるようになりました。16人の会社に、全国のTVメディアなどが取材にきてくれるようになったのです。ある関西TV番組では、放映後注文や問い合わせの電話が鳴り続けたこともあります。

もう一つ。『働き方改革』を推進し、有名になったことで、多額のお金をかけていた「求人広告費」がゼロ円になるというメリットもありました。これまでは「辞めたら雇う」の繰り返し。しかし今はホームページに掲載したら、すぐに多数の求職者が応募してくれるようになったのです。あまりに集まり過ぎるので、「700文字の作文」を課題に出すことで、意欲の高い人材の採用を行なっています。

≫パート従業員の「多様的な働き方」に、会社の方が合わせるべき。

非正規雇用のパート従業員の場合、働く理由はさまざま。だから、現在当社は働きやすいように「好きな日に出勤、欠勤できる」「好きな時間に働くことができる」「出勤の日数も決めない」「欠勤に連絡の必要はない」と、自分で出勤するかを日々自由に決められるようにしています。

こうした働き方が可能な理由は単純で、「時給制」だからです。『働き方改革』を推進してわかったことは、「自由に出勤できる=出社する」ということ。なぜなら、時給であるパートさんは出勤しなければお給料はもらえいないからです。これは言い切ることができます。

会社として工夫をしているのは、その日のパート従業員の集まり具合を鑑みて、正社員がその日の業務を組み立てるということ。パート従業員には出勤した時に、「何時に退社します」ということをボードに書いてもらいます。正社員が業務を調整することで、多様な働き方に合わせているのです。

当社の正社員は2名。会社として「この日に絶対やらなければならない」という業務は、正社員とパート従業員がともに担当しています。この業務をパート従業員だけに押し付けると、“あのパート従業員がいないと、会社が回らない”ことに繋がり、パート従業員を縛ることになってしまいます。だから、「この日、絶対にやらなければならない業務」は、正社員だけでもできるような体制になっています。

こういう話をすると「パート従業員が自由だと、社員にしわ寄せはいかないのか」という質問を受けることがあります。実は、自由な働き方と共に「配偶者特別控除枠内で収入を得たい」という場合などは、“自分で管理してくださいね。会社はタッチしませんよ”というスタンスです。

だから、会社として“管理する負担”は大きくありません。実際、正社員は6時半に退社していますし、有給休暇は連休を取得してハワイに行って楽しんだりしています。先日ハワイで撮影した笑顔の写真をみせてもらって、こちらまでうれしくなりましたね。

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2018年04月02日
株式会社パプアニューギニア海産
工場長  
武藤 北斗氏
事業内容/天然エビの加工・販売

今月の町工場で働くオトコマエ

ゲンバ男子

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