産経関西/産創館広場

ヘルプデスクの理想を追う

2013.06.24

「つながりましたか? よかったです」

事務所に響く明るい声。ユーザーの問題を、まるで自分のことのように心配し、解決すれば共に喜ぶ。企業向けタブレット端末のヘルプデスクを運営する合同会社Sync(シンク、大阪市中央区)だ。

ユーザーの気持ちに寄り添いながらトラブルを解決するノウハウは、外資系タブレット端末の電話サポート業務でたたき込まれた。パソコンのインストラクターや家電量販店の販売員などの経験を持つ住山和行社長は、一般のコールセンターとは異なるこれまでにないタブレット端末のサポートサービスを描いていた。

「もっとお客さまの要望にきめ細かく対応できるはず」「タブレット端末の種類にとらわれないワンストップサポートを実現したい」と独立を決意。元同僚と2人で、大阪産業創造館の起業家育成施設「立志庵」に入ることにした。

当初始めたのは個人向けのサポートサービス。ミニセミナーの開催や知人の紹介を通じて顧客を開拓していったが、収入を安定させるまでには至らなかった。同様のサービスは、端末メーカーがオプションサービスで行っているものの、参入事業者が少なく、世間での認知度が低いためだ。

「軍資金が潤沢にあればもっと宣伝活動ができるが、小さな会社では限りがある。このままでは資金が枯渇してしまう。何とかしなければ…」。何かヒントとなることはないかと、「立志庵」で知り合った先輩起業家たちを訪問した。

そんな中、ある人から法人のヘルプデスクの需要があることを教えられた。タブレット端末を業務で有効活用できていない企業が多いからだ。彼の協力のもと、通信機器やコピー機の販売代理店などと連携し、タブレット端末の導入を進める企業へアプローチしたところ、受注に成功。企業がタブレット端末を有効活用するには専門家による診断をもとに、その企業の身の丈に合ったシステムを導入することが肝要だ。さらに導入前後のフォロー体制も求められる。

同社は、導入後のフォロー体制として「企業向けヘルプデスク業務」をカタチにした。現在はアルバイト2人が加わり、ユーザーからの電話による問い合わせに日々応えている。

(大阪産業創造館 コンサルタント 中田英智)

シンク

▲顧客からの問い合わせに対応する住山社長

合同会社Sync

http://www.syncteam.jp/