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膨大な電流をコントロールして電車を動かす抵抗器

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「この仕事の面白さは、自分たちが作ったモノが目に見えること。社員はやはり鉄道マニアが多いです」。
にこやかに話すのは、大正6年創業の「抵抗器」専門メーカー、鈴木合金の春井常務だ。

架線とレールの間を流れる電気がモーターを駆動させ、電車が動く。それは知っていても、どういう仕組みで電車が速度を変えたり、止まったりするのかを知っている人は意外と少ない。

「パンタグラフとモーターの間に複数の抵抗器を設置し、流れる電流の量を制御することで電車の速度を調節します。抵抗器の抵抗を徐々に減らしてモーターに送られる電流を増やすことで加速。モーターを発電器として使い、電流を抵抗器へ逆方向に流すと電車は減速・停止します」。
最近ではインバーター制御※が主流になっているが、モーターへ流れる電気を抵抗器で調節するという基本的な原理は共通している。

※インバーターとは、直流電力から交流電力を半導体を使って電気的に生成する電源回路。制御装置と組み合わせることで省エネルギー効果をもたらし、近年利用分野が拡大している。

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抵抗器の内部には、長年、電流の経路として波型の鋳物が使用されてきた。その鋳物の国産化に挑戦したのが、同社の成り立ち。完成した純国産の抵抗器は、京都の市電や国鉄(JRの前身)の電気機関車に採用され、現在に至るまで鉄道との絆を深め続けている。

同社の抵抗器は鉄道だけでなく、電力会社の変電所、クレーンなどの重機械にも採用されているが、鉄道に限れば日本のほぼ9割のシェアを占めるまでになっている。

そこまで市場を席巻している「強み」とは何か。「設計から設置、メンテナンスまで全て自社で行っていることですね。そして試験設備を持っている」。抵抗器に求められる条件の一つは、雨風にさらされ、ドロドロに汚れても性能が落ちないことだという。工場の敷地内にはカミナリ発生装置を据えた棟も用意されていて、過酷な状況での実地テストが出来るという。

目下の課題は、軽量化への挑戦。「抵抗器は5つくらいの部品でつくられたシンプルな構造。100の部品を80にして軽くするよりも、5つの部品を4つにする方がずっと難しい」。ここにきて同社は世界で初めて、セラミックスと金属の混合体で抵抗器の部品を開発し、発表にこぎつけた。「これが実用化されれば、鉄道はもちろん、他のさまざまな分野に応用できます」。

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次世代に向けた取り組みとして、IoTなどと組み合わせて抵抗器に付加価値を付け、さらに業績を伸ばすことにも活躍しそうだ。

それにしても一介の鋳物屋がよくぞここまでやりましたねと、ぶしつけな質問をぶつけてみた。
「創業当時、鉄道事業の隆盛が国策だったことも追い風でした。部品を国産化しようという動きもあり、いくつかの会社が取り組みましたが、実際に物ができたのがうちでした。当時の技術者は偉かったと思います」。


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▲常務取締役 開発本部長 春井 眞二氏

(取材・文/山蔭ヒラク 写真/福永浩二)

2016年11月09日
鈴木合金株式会社 常務取締役 開発本部長
春井 眞二氏

事業内容/抵抗器・抵抗体の専門メーカー 

資本金/2億5千万円 

従業員数/112名 

創業/1917年

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