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【ロングインタビュー】大阪ならではの「笑える蛇口」が、知名度も技術力も高めてくれた

2016.03.09

―これまでの会社の歴史を教えてください。

創業は明治時代、最初は金物店でした。今も本社には当時のそろばんや大福帳を飾っています。水道用具を扱うようになったのは戦後からです。大手メーカー製の補修部材を専門に扱っていました。メーカーそのものよりも製品に通じるほど知識を磨き、どんな不具合にも対応しました。しかし、バブル崩壊後、メーカー自らが補修まで手掛けるようになり、そこで初めて、自社オリジナルの製品を開発する必要が出てきたのです。

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開発当初は一般的な売れ筋商品を研究し、作っていました。ですが、後発メーカーなので小ロットでコストもかかります。さらに、品質はなかなか安定せずクレームも多かった。施工する販売店の信頼も、一般ユーザーの認知もなく、当然ながら売れませんでした。

その時考えたのは、「もっと安く、もっと量産しなければ」ということ。一円でも安い部材を求めて中国にも進出しました。価格競争に疲弊してきた時、「成長市場では勝てないのでは?」という疑問を持ちました。

―どういうことでしょう?

次々に新製品が発売される人気の分野では、競合も数多く存在します。その場合、弱いメーカーとしては販売店からのクレーム情報なども教えてもらえず、なかなか次の製品の改良に結びつきません。

そこで、技術的に熟成した市場に狙いを定め、汎用品や配管部品など壁の中の「見えない」分野に舵を切りました。これを私は「隅っこからの参入」と呼んでいます(笑)。目立たないかもしれませんが、特許情報なども公開されていて、施工者に直接意見を聞くこともできるので、技術やノウハウ、そして地道に資金も貯めていくことができたのです。

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株式会社カクダイ

代表取締役副社長

多田 修三氏

http://www.kakudai.jp/

事業内容:水道用品の製造・販売・輸出入を行う創業136年の老舗企業。いわゆる普通の「水道」「蛇口」から伝統工芸品とコラボしたものや笑える蛇口まで広く取り扱う。