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【ベンチャー型事業承継のススメ】ファミリービジネスが変える日本の未来

2015.12.09

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後継者のための事業承継100日工程表

後継社長にとって最大の正念場は一年目。自分がリーダーシップを発揮して社内の信頼を集める意味では最も重要な時期です。私は最初の一年で失敗したので、辞めざるをえない状況になってしまいましたが(笑)。

日本の会社はほとんどが同族経営であるにも関わらず、ファミリービジネスのマネジメントは体系化されてこなかったように思います。ビジネススクールはたくさんあっても、ファミリービジネスならではのマネジメントを学べる場所は少ない。

私は同族継承のための100日間の工程表をつくりたいんです。例えば、家業に入った初日にやるべきことは、なぜ事業のキャッシュが回っているのかを分析することです。そこから2日目、3日目…100日目といった工程を確立する。マーケティングやファイナンスだけではなく、まず家族を集めようとか、法事はやっておこう、古参の社員とはこう付き合え、親父とはこう闘うべし、とかね(笑)。

後継者が最初の一年で何をやらなきゃいけないのか。このノウハウが体系化され、その通りにやっていく人が出てくると、その結果も検証もされるだろうし、そのうち学問としても確立されていくでしょう。これからの後継者にとっての教科書になる。

「家族の事情によって違うから」という理由で、家族内の閉じられた世界の問題のままにしておくと、いつまでたっても日本の事業承継のノウハウは進化していかないと思います。

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歴史は信頼

30代で家業に戻った時、新しい事業を始めるにあたって、いろんな人に協力を求めて歩きまわりました。そうすると、方々で「あなたのおじいさんに昔お世話になったから」といわれました。100年という歴史は会社の信頼そのものであり、歴代の経営者が時代時代の苦労を乗り越えて、周辺の人々や企業と協力しながらキャッシュを回してきたという証なんだと実感しました。

家族が代々継いできているというのは海外でも評価される。歴史そのものがファミリービジネスの経営資源なんです。

後継者はその強みを活かして、会社を潰す覚悟で挑戦する。継がせるほうも覚悟をもって後継者に任せる。そんなファミリービジネスが日本の未来を変えていくと思います。

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星野リゾート

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