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【ロングインタビュー】好きなことを見つけ、一歩ずつ前に。

2015.10.09

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―子育てと学校と仕事と。大変でしたね。

辞めるときには、第2子の出産を控えていました。つながりのできたインテリア事務所からモデルルームのインテリアコーディネートの仕事をいただき、出産直前までやっていました。出産後もその仕事にすぐに復帰するつもりが、母が大病してしまい、しばらくは看病の日々。ようやく落ち着いてから復帰したのですが、17時半ぎりぎりまで事務所で仕事をして駅からダッシュで自転車をこいで子どもを保育所まで迎えに行き、残った仕事を家でこなす日々でした。

そんな日々が続いて、ある朝起きたら突発性難聴になっていました。すぐ病院に行ってステロイドの点滴を受けてそのまま顧客のもとへプレゼンに向かいました。仕事がハードだったせいもあるのですが、もっとストレスになっていたのは、「金城」として認められていないジレンマでした。提案から見積もり、そして評価も「金城」という名前で評価してほしいという願望が強くなってきました。会社勤めだと当たり前なのですが、自分で勝負したいという気持ちが芽生えてきたのです。

じゃあどうするか。子どものとの時間も大切にしたいけど、仕事もあきらめたくない。となれば自分でやるしかないと思ったんです。

―いざ起業。なにから始めたのですか。

お金もコネもバックボーンもない。ひとまず「インテリア 仕事」でネットの検索をかけたら外部のインテリアコーディネーターを募集している会社を見つけて、登録しました。急いで名刺も作って。そこから広がってモデルルームのコーディネーターの仕事が増えていきました。

とにかく自分のことを知ってもらわないといけないのでブログを立ち上げて、1年間毎日更新することをミッションにしました。知人の紹介でセミナー講師の仕事も始めました。2年目にはひと月10万円稼ごう、と目標を決め、そのためにはインテリア、整理収納、講師の仕事でこれだけ稼ごうと分けていくと、やることも見えてきました。

意外とすんなり目標が達成できて、じゃあ来た仕事を拒まずにやったら年間これだけの稼ぎにはなるな、と。ところがその計算をしてみて、一生懸命働いたところでこれがマックスか、と物足りない気持ちになりました。

起業してからの3年間を振り返ってみて、自分のブランディング、利益のために働いてきたけど、本当にやりたいことは、自分のために働くことではなく、インテリア、整理収納のすばらしさをみなに広く知ってもらうことだと気づき、そのためには自分ひとりでやるのは限界があると思えるようになりました。それが会社設立につながっていきました。昨年5月に当初の目標どおり40才で法人化しました。

―会社を設立して何が変わりましたか?

私の思いを伝えていくには仕事のコンテンツも見直さないといけないし、単価も上げていかないといけないと思いました。私の強みであるインテリアコーディネーターとしての知識と経験、ノウハウを組み合わせて美しい、きれいなワンランク上の整理収納を提案することもその一つです。となると単価も今までより2割増しで提示してみようということをおそるおそるやっていきました。そんなことを誰にも聞けなかったし相談する人もいなかったので。いまでこそプチ起業という言葉もありましたが当時は起業家の集まりといっても男性ばかりでしたから。

経営者になって利益は減りましたが、自信はできました。プレッシャーもありますが、スタッフと一緒に会社を育てていきたいと思っています。私以外のスタッフは皆さんパート。5人いる整理収納アドバイザーのスタッフは子育て中のお母さんが多く、直行直帰で1日3時間だけ働くこともできます。私自身子育てしながらフルで働いてきたので、ワークライフバランスを実現しながら、皆さんが働きやすい環境をつくっていきたいと思っています。

 

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株式会社ベイルインテリア

代表取締役

金城貞美氏

http://bail-interior.com/

事業内容:インテリアコーディネート、整理収納、セミナー講師の3事業を展開。インテリアの知識、ノウハウを生かした「美しい整理収納」サービスが順調。