産経関西/産創館広場

インドの魅力 伝え続け37年

2014.08.25

旅の行き先はインドのみで、プランはオーダーメード。大人数で移動し制限時間を意識しながら観光するツアーとは違い、顧客の希望をヒアリングし、興味がありそうな場所に絞って柔軟に旅程をアレンジする。団体旅行での不自由さをなくしつつ、個人旅行では味わえないインドの奥深さを体感してもらう。それが株式会社風神企画(通称:トラベル・ミトラ・ジャパン、大阪市北区)が提供するインド旅行だ。

社長の大麻豊(おおあさ・ゆたか)氏が初めてインドに旅立ったのは1971年。渡印後はお寺に住み、現地の人々と生活を共にした。

それにしてもなぜインドだったのか。大麻氏は理由をこう語る。「欧米は何かを得たい人が行く場所。私はインドに何かを『捨て』に行ったんです」

現代の言葉に置き換えれば「デトックス」ということになるだろうか。既成概念やお金、煩悩…。そうしたものから解き放たれたとき、人は、人間として大切にすべきシンプルなものに気づくことができる。大麻氏の場合は誠意とユーモアだった。

持ち前の明るい性格と、違いを受け入れる度量の大きさは、多様な文化と言語を内包するインドでの人脈構築に大いに役立った。広大なインドのほぼ全域を訪れ、観光名所やホテル、サービス業界と丁寧に信頼関係を築いていった。インド専門旅行会社に参画した後、1977年に独立。以来、一般には開放されていない貴重な仏教文化財や地元民だけが知る雄大な景色へといざなう旅の魅力が口コミで広まり、インドをこよなく愛する人々からの依頼は37年間絶えることがない。

まさに中小企業が目指すべきニッチ戦略のお手本といえる。だがこのビジネスモデルは利益追求の結果ではない。「インドのファンを増やす」という理念に一貫してこだわった結果なのだ。思いを共有できる多くのスタッフに恵まれたことも大きかった。

「インドの人々は誠実な日本国民が大好き。ビジネスパートナーとしても高く評価されている。現地のリアルな情報を提供することで、人々の交流やビジネスの活性化に少しでも貢献できれば、その価値はお金に換えられない」とほほ笑む姿に、利潤だけでは測れない、企業の存在価値を感じた。

(大阪産業創造館 プランナー 池田奈帆美)

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▲インドの雰囲気が漂う大阪天満宮近くの事務所。中央が社長の大麻氏

株式会社風神企画(通称:トラベル・ミトラ・ジャパン)

http://www.travelmitra.jp/