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【長編】イノベーション製品で世界の医療効率を上げ、人々の健康と幸せに貢献したい

20年務めた大手製薬会社を退職して医療ベンチャーを設立し、医療に貢献する「服薬イノベーション」を軸に研究開発を続ける盛本氏。薬をゼリーで簡単に服用できる「GT剤」(医薬品)や「GTパック」(食品)をはじめ、医療界の常識を覆すような新たな製品の開発を続けている。大手製薬会社から独立した経緯や事業に賭ける志、未来の展望について思いを語ってもらった。

 

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>>>大手製薬会社を飛び出して独立し、「GT剤」を開発された経緯をお聞かせください。

1982年に武田薬品工業に入社して以降、20年にわたり製剤研究を行い、医薬品とその製造方法などに関する数多くの特許を出願してきました。その技術や製品を1社だけでなく世界中の人の役に立てたいと思い、独立を決意しました。

2005年にモリモト医薬を設立後、製薬会社時代に培ったノウハウをもとに高速で微量の粉末を精度よく全数充填秤量するシステムを備えたオーガー充填機と呼ばれる医薬製造機器を開発。その後、2009年から嚥下(えんげ:食物を飲み込んで胃に送り込むこと)が困難な人でも服用しやすいゼリーキット新剤形「GT剤」の開発を始めました。

1989年に厚生省(現、厚生労働省)が高齢者に対して、どのような形状の薬があれば飲みやすいかとアンケートを実施したところ、ゼリーやプリン状になっていれば飲み込みやすいという回答が多く出されました。

その後、ゼリー剤に関する数百の特許が出願されましたが、薬をゼリー状にすることで安定性、その他の面で課題を抱え、医院においても市場においてもあまり広まっていません。そこで、製薬会社時代に培った注射剤の関連技術と特殊な弱シール技術を開発して、錠剤をゼリーと共に飲み込める新しい剤形を開発することになったのです。

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弱シールはフィルムを封止する技術です。3つ折りの閉じた状態では20kgの力を加えても開封することはありませんが、3つ折りを開くと子どもでも簡単に中身を押し出せます。この弱シール応用技術を使い、あらかじめ分離した状態で錠剤とゼリーをセットし、使用時に混ぜ合わせて服用できる「GT剤」を2011年に開発しました。

 

GT剤は水もコップも要らず、従来の服薬用ゼリーのようにコップやスプーンも必要ありません。GT剤を開いて口にくわえ、中身を押し出すと、錠剤がゼリーと共に喉をスルッと通ります。錠剤やカプセルが苦手な人、誰でも簡単に服用できます。

 

>>>その後、「GTパック」の開発につながっています。

GT剤を医療機関に提案したところ、好感触を得ると同時にいろいろな薬に応用できないかという要望をもらいました。GT剤は特定の薬に特化したパッケージですが、医療機関では服薬困難な患者に広く使いたいという希望があったのです。

そこで新たに服薬補助ゼリーキット「GTパック」を開発しました。あらかじめ薬剤がセットされているGT剤と違い、薬は後から入れるタイプのパッケージです。使い方はGT剤と同じく極めて簡単で、GTパックに薬剤をセットし、ゼリーの部分を押すだけです。すると錠剤やカプセルがゼリーに包み込まれてスルッと飲み込めます。

先月から、GTパックを医療機関や福祉移設を始め、アウトドアスポーツを好む服薬患者だけでなく、一般用としても「のめるもん」という商品名で販売を開始いたしました。

 

>>>弱シール加工技術を応用し、新たな開発にもつながっていると伺いました。

その一つが、錠剤などのPTP包装シートの誤飲事故を根絶する新包装の開発です。プラスチックとアルミ箔でできた薬の包装をPTPシートといいます。皆さんご存知のように、このPTPシートの角は鋭利で、皮膚を引っかいたりすると傷がつくほどです。認知症の人などが、このPTPシートを薬と一緒に飲み込んでしまう問題が以前から指摘されていますが、最近急増しています。誤飲すると喉や食道などを傷つけるおそれがあるばかりか、PTPシートはレントゲンには映らないため、取り出す開腹手術も簡単ではありません。

そこで弱シール加工技術を使い、まったく新しい包装シートを開発しました。やわらかいフィルムなので誤飲しても体を傷つける心配はありません。さらに高気密性を実現しているため、薬の保管の面でも問題ありません。この技術を当社で囲い込むのではなく、オープンにして、医療界全体でPTPシートに代わる新包装を開発し、包装シートの新たな常識をつくり出したいというビジョンを描いています。そのためにいま医療関係者に提案し、志に賛同してくれる人を募っているところです。

創業以来の私の信念は、医療に貢献する「服薬イノベーション」を巻き起こすこと。インキュベーション事業によって革新的な製品を研究・開発して世界中に広めることで、一人でも多くの人を幸せにして、楽しい暮らしの実現に貢献したいと考えています。

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>>>医療関係のメーカーを立ち上げるためには資金的なハードルも相当高いと思います。

その点、当社はとても恵まれていました。取引金融機関の一行である大阪厚生信用金庫から約4億円の融資を受けて、2012年8月に現在の本社ビル・工場となる土地・建物を取得できたのです。売上高1億円の会社にここまでの融資をつけていただけるのは珍しいと思います。私の事業に賭ける志に賭けていただいたのです。本当に感謝しています。

 

融資を受けて土地・建物を取得したことで、幸運を呼び込んだように思います。2013年2月に経済産業省のイノベーション拠点立地推進事業に採択されたのを皮切りに、8月には大阪府の人材育成事業受託、9月には大阪市からトップランナー事業認定、12月には大阪産業振興機構からの割賦販売支援、2014年2月には大阪府より経営革新計画の承認をそれぞれ受け、公的資金を得ることができました。信念を持ち、愚直に続けていれば、道は切り拓けるだと思いました。

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今後の目標としては、まず東京オリンピックが開幕する2020年までに、「薬はゼリーで飲むのが当たり前の時代」を実現させること。そして会社の業績面では、同じ2020年までに売上高100億円を目標に据えています。

そのためには当社の技術と製品を広く世の中に知っていただく必要があります。GT剤、GTパック、そして業界の常識を覆す新包装の開発などの情報を積極的に発信し、世界中の人々を幸せにする服薬イノベーションを起こしていきます。

 
▼Bplatzpress5月号に掲載した記事「めざすのは 「薬はゼリーで飲む時代」はこちら
http://bplatz.sansokan.jp/archives/2393

2014年05月09日
株式会社モリモト医薬
代表取締役   
盛本修司氏
薬剤を容易に服用できる研究開発に力を注ぐ。ゼリーで薬を飲む「GT剤」、服薬補助ゼリーキット「GTパック」のほか、胃瘻患者用のディスポーザブル胃瘻注入器「クイックバッグ」などを製造販売する。
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