商品開発/新事業

《講演録》社運を賭けた単品勝負戦略!〜八天堂のくりーむパンを愛され続ける商品にするまで〜【後編】

2020.01.06

♦選択と集中で武器を磨けば、他社とのコラボレーションで展開が拡がる

事業の成功には、何のために事業をするのかという経営理念と、独自のアイディアや技術といった武器という両方が欠かせません。特に、資源に限りのある中小企業は選択と集中が必要になります。捨てることには勇気がいりますが、覚悟できないままゆでガエルになっていくよりも、余裕があるうちに手を打たないといけません。

現代はコラボレーションの時代です、すべてを自社でやろうと抱え込む必要はありません。独自の技術やアイディアがあれば、業種問わずに他社から一緒にやりましょう、と声をかけてくれます。相手先の販路を活用させもらったり、共同で商品開発したりできるのです。そうやって私たちもさまざまな企業やブランドとのコラボレーションを進めてきました。

 
♦好調なときこそ将来の種まきを。永続させていく源はやはり人

現在、くりーむパンは当社の売上げの3割程度を占めています。一方でくりーむパンが好調なときにこそ、と将来の事業の種まきにも力を入れてきました。2020年中にフルーツをテーマにして、農家さんとのコラボレーションや就労支援のための仕組みを備えた、農福一体型の道の駅を広島空港前にオープンする予定です。2021年以降も順次全国に展開していくつもりです。

種まきしたその事業をいかに永続していくか、その源は人です。人がものを作って、プロモーションして、売っていくわけですから。くりーむパンが誕生した頃から私たちは新卒採用を始めました。

もちろん中途採用も行っていますが、会社の経営理念になじんでもらいやすいのはやはり新卒社員です。今では合宿型の大規模インターンシップ制度を通じて、経営理念に共感・共鳴してくれる人と出会い、地域社会や未来の人々のために貢献できる人材を育成すべく将来への投資を行っています。

 
(文/原きみこ)

 
森光 孝雅氏(株式会社八天堂 代表取締役社長)
1964年広島県三原市生まれ。有名パン店での修行を経て1990年八天堂へ入社。2006年3代目社長として就任。かつては無理な店舗拡大で倒産危機に陥ったが、無添加パン卸売事業で経営を立て直し、その後100種類あったパンを1種類に絞り「くりーむパン」の開発に取り組む。2009年スイーツパン専門店としてくりーむパン1品で東京進出を果たし、駅ナカや百貨店を中心とした出店で、スイーツパンの手土産市場を確立した。今後はくりーむパンを軸とした食のテーマパークの展開を計画するなど、進化し続けるビジネスモデル開発で未来に無くてはならないソーシャルイノベーションカンパニーとして未来を切り拓き、同時に人を大切にする会社として未来に必要とされる人財創造企業をめざしている。

株式会社八天堂

代表取締役

森光 孝雅氏

http://hattendo.jp/

事業内容/一品事業、EC事業、カフェリエ事業、海外事業