ものづくり

《講演録》キーエンスに学ぶ “高収益体質” 経営のメソッド [2]

2019.06.18

プレゼンテーションにおいても、明確な区別があります。それは、お客様のニーズに対する自社商品の“特徴”と“利点”を分けることです。

“売れない人は、自社製品の特徴の説明”をします。“売れる人は、お客様の利点を訴求”します。やっかいなことは、売れる人でも、この特徴と利点の区別をしっかりとしていないことです。

そのため、“自分は売れるが、部下は売れない”という状態を作り出してしまうのです。コンサルティングセールスではこの部分を体系的に学びます。

 
コンサルティングセールス以外にも、さまざまなセールスの特徴があります。例えば、セールスにはアポ取りから受注までの細かいプロセスがあり、さらに個々のプロセスについてオープニングからクロージングまでの細かいプロセスに分けられています。

こうしてセールスをプロセス化することで状況確認がスムーズになり、マネージャーが営業の現状を明確に把握することができます。また、セールスプロセスのマネジメントも徹底されています。

キーエンスには「外出報告制度」や「フォローアップ説明会」「ロープレ」などさまざまなセールス成長の仕組みがありますが、いずれも売れるリーダーが営業を指導しています。売れないとリーダー以上に昇格できないため、売れる営業がまだ売れない営業をしっかりサポートする仕組みが確立しています。

これはコンサルタントとして感じることですが、営業という分野において、私自身は“売れる人=お客様に買ってもらえている人”として尊敬しています。

しかし企業の中には、“面倒見がいい”、“年次が長いから”というような理由で、あまり売れない人を営業のマネジメント職につけている会社を見かけます。正直この状態で営業組織を伸ばすのは困難です。適材適所でポジションを変えた方が、成果があがります。

 
>>>《講演録》キーエンスに学ぶ “高収益体質” 経営のメソッド [3]に続く

 
(文/ 松尾優子)

 
田尻 望氏(株式会社カクシン 代表取締役、一般社団法人Key to Innovation 理事)
京都府生まれ。大阪大学基礎工学部情報科学科卒業。大学卒業後、株式会社キーエンスにて、国内・国外の販売促進担当として活躍。同社を退社・独立後、始めた事業を自らの甘さから1年で撤退。その後、研修会社を立ち上げ、4年でクライアント50社以上に貢献。現在は年商30億円以上の企業に対して、長期的な成長経営を続けてゆくための人財育成構造の提供、戦略コンサルティングを行っている。類まれなるスキルと分析力、提案力により、多くの会社の利益化および人材定着に貢献している。

株式会社カクシン

代表取締役

田尻 望氏

https://www.srv-lab.co.jp