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「本物の味を」社運を賭けて商品化

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ケーキや飲み物、クッキーなどに混ぜ、和のテイストを加える原料として今や日本のスイーツには欠かせないアイテムとなった抹茶。だが、シェフやパティシエにとっては扱いにくい材料でもある。高価な上に、光や空気に触れるとすぐに変色し、風味も損なわれてしまうからだ。結果、抹茶の使用をできるだけ抑え、これを補うために、色や香りをつける添加物に頼るケースが多くなる。

代々品質にこだわってお茶製品を送り出してきた谷本氏にはそうした商品が大手を振って“抹茶スイーツ”として流通していることが我慢ならなかった。「本物の抹茶の味をまず知ってもらうことがわれわれ製茶業者のミッションではないかという思いが募った」。

人気のアイスクリームブランドの抹茶アイスをベンチマークし、これを凌駕する商品の開発を目標に掲げた。まず始めたのがスイーツに合う茶葉を探すこと。「砂糖やクリーム、脂肪に負けない強さを主張しながらも、これらといかに調和できるか」を考え、最適な茶葉と配合を探すだけで5年を要した。茶葉は一定の室温に保った土蔵で寝かせ、「とんがった苦味を丸くする」。アイスクリーム製造を委託する工場では、抹茶を劣化させないためのノウハウをつぎ込んで細かいところまで指導した。出来上がった商品は目にも鮮やかな深い緑で、しっかりした抹茶の風味が口に広がる。今年の2月から発売したところ口コミで評判を呼び、「製造が追いつかない状態」だ。

嘉永3(1850)年に堺で創業し、谷本氏で五代目を数える。「堺はもともと利休が生まれたお茶の町であり、鉄砲や刃物の職人が集まっていた町。変なものをつくったらあかんという職人気質のDNAが根付いている」。大消費地に製造拠点を置くことも製茶業者ではめずらしい。「生産地に近いとそのエリアの茶にこだわりがち。われわれは、毎年全国の生産者をくまなく回り、その時々の出来が良いお茶を選べることが強み」。谷本氏自身、茶鑑定士六段の資格を持ち、日々産地を訪ね歩いている。

「利休抹茶あいすくりーむ」の商品名は、千利休が堺出身であることとその精神をふまえたもの。「高貴な人が限られた場で飲むものだったお茶を、もてなしの心こそ大事、とわびさびを唱えることで庶民の飲み物にしたのが利休。大阪には本質を理解し、もともといいものを広げる気風がある」と谷本氏。「社運を賭けて開発した」と力の入る「利休抹茶あいすくりーむ」の商品化をきっかけに年内に堺市内に店舗を出店するなど一気に攻勢に出ようとしている。

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▲茶鑑定士六段の資格を持つ谷本氏自らが全国の茶産地に出向き、優れた茶葉を選定している。

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▲日本茶インストラクター、日本茶鑑定士が在籍し、「茶」の啓発活動を行っている。

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▲玉露、煎茶、抹茶などの特別な茶葉は約100年の歴史をもつ土蔵に囲い、熟成させる。

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▲代表取締役社長 谷本 順一氏

2013年09月10日
株式会社つぼ市製茶本舗
代表取締役社長  
谷本 順一氏
設立/1991年 資本金/1,500万円 従業員数/80名 事業内容/お茶の製造・卸、中国茶、健康茶の企画開発。現在は百貨店に出店。日本茶インストラクターが9名おり、「お茶の淹れ方教室」を開くなどして茶の普及に力を入れている。
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